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逆らう訳にも行かないので震えそうになりながら少しだけ口を開けてみた。
「そうそう。んで舌、出して」
「………」
うわあああん恥ずかしいよおおお…!!
泣きそうになりながら、そろりと舌先を唇より前に出すと狩吉さんが俺の舌に自分の舌を絡ませて、ゆっくりと口付けた。
他人の舌を口内に入れさせる行為など、もちろん初めてで戸惑いを隠せない。深夜ドラマで見るような濃厚な口付けに固まっていると、狩吉さんが少しだけ口を離し低く掠れる声で「息はね、鼻でするんだよ」と笑いながら教えてくれた。
なるほど、酸欠で死にそうになりそうだったから、そのアドバイスは役に立ちそうだ。
「俺のも吸って。噛んでもいいよ」
言われた通り狩吉さんがしてくれたようにやり返す。まるでエロの先生だ。さすが踏んでる場数が違う。でもいくら「いいよ」と言われたからと言っても噛み付くなんて俺には畏れ多くてできない。
「ん、…む」
口の中がお互いの唾液でドロドロだった。気持ち悪いとは思わないし、どちらかといえばドキドキして頭がボー…としてくる。
狩吉さんの巧みなキスに意識を持っていかれていると、さり気なく手が俺の体に伸びてきたことに気付いた。
服の上から体の線を確かめるように撫でてくる手の平が何だか熱く感じる。
「……ぁふ…か、狩吉、さん…?」
俺の貧相な胸を這う手がキスに感じて立ってしまった乳首に触れ、きゅと指先で摘まれた。ビクンと跳ねる腰に、唇を離した狩吉さんはそのまま首筋にキスをしてくる。
「安成、じょうずだよ。気持ちいい」
「ほ、ほんとですか…えと、よかった…」
よかったのか?
よくわからないが褒められたので喜んでおこう。
「うん。安成のチューが気持ちいいから俺、勃っちゃった」
「………!?」
ストレート過ぎる言葉にギクリと顔が引きつってしまった。
まさか…まさかだけど、狩吉さん…俺と、セ、セ、…セック……
手が器用に制服のシャツの中に入り込んできて、あわあわと狩吉さんの腕を服の上から押さえつけた。
「ま、ま、待ってください…!この手は、この手はっ、なんですか…!?」
「さわっちゃだめ?」
「~~~っ、だ、めです!!!」
「えっ」
まさか俺が拒否の言葉を吐くとは思わなかったのか、狩吉さんが顔を上げる。その顔は俺を睨みつけるように…いや、違うな。多分どういうこと?とでも言いたいのか疑問の浮かんだ顔だ。
メンチ切るのに慣れ過ぎてるのか怖い顔にしか見えないが。
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