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もやしはダイエットの味方
「昨日狩吉が図書室に居たってマジ?」
教室でお昼ご飯を食べていた時に目の前で焼きそばパンを頬張っていた叶が思い出したように喋り出した。
「へ?なんだ?いきなり」
「朝から噂になってるんだよ。もやしみたいなのと一緒に居たって聞いたけど、そのもやしってどう考えても安成だよね~」
「……もやし…」
間違ってないし自分でも自分のことをそう呼ぶことはあるが、知らない人からもそんな風に呼ばれているなんてちょっと悲しくなる。
外に出てアクティブに動く方じゃないし、どちらかといえば安心安全な自宅でゴロゴロのんびりすることが多いので肌も結構白いから仕方ないっちゃ仕方ない。
「安成勉強するときいっつも図書室行くもんねー。図書室なんか絶対興味ない狩吉連れて行くなんてなかなかやるじゃん!」
「連れて行ったわけじゃないし!……ただ…付いてきただけというか…」
「へええ~~~~~~~~~~~~~」
「語尾長!止めて止めて!なんだよ、またなんか言うつもりか?」
「またって何!?いっつもいっつも俺が余計なことばっかり言ってるみたいに言ってくれちゃって!俺は安成を好奇心いっぱいの気持ちで心配してあげてるのに!」
「………それ、面白がってるだけじゃん」
「てへ」
何がてへ、だ。そんな可愛い子ぶったって…顔が可愛いから似合ってるな!もー!
「それで?昨日は確かに図書室に行ったけど…なに?どうかした?」
叶の本音が聞けたところで話題を戻すと、今度はぷくーと頬を膨らませた。なんともまああざとい。
「どうかしたに決まってるでしょ~。もやしが安成だって気付いたか弱き友人数名から…あ、ちなみに匿名ね。図書室に狩吉春を連れてくるのだけはやめてください心臓に悪いお願いしますお願いしますって朝から懇願された俺の身にもなってみてよ」
「…うわぁ」
俺自身が当事者だが、彼らの気持ちはよく分かる。
図書室という静かで心落ち着く場所に、その正反対でもある狩吉春が表れてみろ。俺だったら猛ダッシュで逃げてそれから図書室に行くたび今日は居ないよな…?と怯えながら確認する日々を送ると思う。
というか、何故わざわざ叶の方に言いに行くんだ。俺に直接言いに……来られても困るだけだから、やっぱ叶に言いに来てくれて良かった。
「まあ、あの狩吉が突然あんなとこ現れたらみんなビックリしちゃうよね。分からなくもない。というわけで安成くん」
「待て、叶」
「君の今日のミッションは図書室に付いてくる狩吉を阻止せよ!だ!」
「無理だから!!!」
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