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そうくると思った!
でもそんなの俺にはほぼ100%無理だ。
いくら少しは慣れてきたとはいえ、付いてくるという春さん相手に付いて来ないでなんて言えると思うか?答えはノーだ!躊躇わず言えたら俺のアイデンティティなくなっちゃうっつーの!
「なんでよ。今日は集中したいから先に帰ってて、とでも言えばいーじゃん」
「そんなこと言ったら昨日春さんのせいで集中できなかったみたいに取られるだろ…!」
「春さん?」
「……げ」
春さん、という単語に瞬時に反応したかと思えばもう目をキラキラと輝かせている。弄りネタはっけーん!という心の中が丸見えだ。
「やだ~なに~?安成ったら狩吉のこと春さんなんて呼ぶようになったの?そっかそっか。俺が心配しなくても、2人はしっかり愛を育んでいたんだね」
「い、いや別に…愛とかじゃ」
「そんなに仲良くなったなら言えるよね?あっ、てゆか家だと妹ちゃんが邪魔してくるから嫌なんでしょ?だったら最初みたいに狩吉の家に行ってそこで勉強させて貰ったらいいじゃん!」
「家!?そんなの…頼めるわけないだろ!」
さっきから叶の暴走が止まらない。ちょっと今日元気過ぎじゃないか?
俺はコンビニで買ったおにぎりをあと一口で食べ終わるところだったのに、叶のとんでもな提案によって中断させられる羽目になった。
春さんの家で勉強なんて…そんなことするくらいなら俺は家で勉強する。
妹はうるさいけど、春さん宅でヤンキーパパやヤンキーブラザーがいつ登場するかビビりながら勉強するよりはよっぽどマシだ。
ちなみにヤンキーかどうかは知らないがブラザー(弟)がいるのはこの前聞いて確認済みである。他校の学校に通っていて、仲はあんまり良くないらしい。だから帰って来てもすぐに自室に引っ込むから俺とも会うことはないと言うが…実際どうかは分からないし。
「えー?いいと思うけどなあ。そうでなけりゃ俺がまた明日か弱き友人たちの非難を受けることになるんだよ?無関係なのに可哀想じゃない?こんなに可愛い叶くんが不憫だと思わない?」
「可愛いのは認めるけど、哀想だとは…」
むしろ、ビビリにとっての無理難題を押し付けられる俺のが可哀想な気がしない?
「そんなこと言って!安成がほんとは優しいの知ってるよ?期待してるからねっ」
「…っぐぬぬ」
その言い方は狡いだろう。
………でも確かに叶は関係ないのに、巻き込まれてるみたいなもんか。
仕方ない。
春さんの家に行くのはいちいち勇気がいるので、今日は自宅で勝気な妹に負けないよう勉強に励むとしよう。
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