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04
2度目の春さんのお家訪問は1度目ほどの緊張はしていなかったが、全く緊張していないと言ったら嘘になる程度にはそわそわしていた。
でも時間が時間な事もあって、春さんのご両親は仕事で居ないし、弟さんも今日はまだ帰って来てないみたいだった。
この前と同じように春さんの自室にあるローテーブルに座り込んで今日は数学のテスト範囲を進める為、教科書とノートを広げた。
「くっついたら、だめだよね?」
「……緊張しちゃうから…」
「わかった」
俺の控えめな答えにコクンと頷いて、春さんは自分のベッドの上で壁を背に座り込んだ。何をしとくのだろう、と様子を見ていると床に投げ捨てられていた今週号の週刊の漫画雑誌を拾いペラペラとめくり出した。
不良と週刊少年〇〇。似合いすぎる。
「………」
本当に勉強してもいいのかな?と不安にはなるが、春さんは春さんでもう本に集中してしまっているのかこちらを見ないので、それならばと俺も苦手な数学と戦う事を決めた。
ーーー
――わっかんない…
始めてから数分後、早速問題に躓いて俺は頭を抱えていた。
なんだこの問題。こんなの授業でやったっけ?全然思い出せないし、どの公式を当てはめたらいいのかも分からない。答えを見てもどうやってこの数字に導き出すのか皆目見当もつかない。
どうしよう、もうここは飛ばすか。でも分からないまま進んだら勉強の意味ないしテストに出たら終わりだし…あー、こういう時に叶が居たらなあ…
と、そこまで考えてハッと思い出した。
そういえば叶が、数学のテスト対策のノート貸してくれてたんだった!春さん図書室阻止計画の遂行を見込んで、成功報酬の前渡しである。
神による救いの光が舞い込んだ俺はそそくさと鞄を漁り、目的のノートを取り出した。
パラパラとめくると俺の悩みの種が解消されるであろう箇所を発見し思わず笑みが浮かぶ。叶の見た目通りの少し丸みのある可愛い文字は、とても分かりやすくまとめられて凄く見やすいし俺にとっても明解だ。
ほうほうなるほど、この公式を使うのか、はあ~~やっぱあいつ凄いな…とシャーペンを進めていたら、ふと視線を感じ顔を上げた。
いつの間に読み終えたのか、春さんの手には週刊誌から携帯に変わっていてその顔は不穏に歪められている。
要は睨まれているわけですよ。
何故!!?
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