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「ど、どうかした…?」 「それ、だれの?」 それ?それとは……叶のノートのことかな。明らかに俺の持ってたノートの内容とはカラフル具合が違うし、これのことだよな? 「これは、友達の…貸してくれて」 「教室でいっつも一緒にいるヤツ?」 「うん、そう。あいつ」 「…ふーん」 春さんは携帯をベッドに放り投げて、俺の傍に近付いてきた。いつもの柔らかな雰囲気とは違い、纏う空気感が少し怖い。 俺、変なこと言ったかな…? 「安成、やっぱりそいつのこと好きなんじゃねぇの?」 俺の横にヤンキー座りで腰を下ろした春さんは相変わらず怖い顔でそう言った。心なしか言葉遣いも荒い気がする。 「え、…うん、好き…だけど、友達としてだよ…?」 以前もそんなこと聞いてきたよな。あの時にもちゃんと友達として好きだと答えた筈だが… 「ほんとに?そいつのノート見ながら、嬉しそうな顔しただろ」 ………睨まれてると思ったけど、これはもしかして… ――嫉妬とかいうやつ…? いや、まさか!そんな! 春さんが俺なんかに嫉妬するわけないよな…!? というか、いつから俺のこと見てたんだろう。 「こっ、これは、分かんないとこが、あって!…あいつ頭いいからノート貸してくれてて…分かんないとこが分かったから嬉しくて…その、…それで嬉しくなった、だけでして…」 とにかく誤解を解かねば、とシドロモドロになりながらわたわたと真相を話す。 ちゃんと日本語として成立しているか不安な程に慌てているが、話しているうちに険しかった春さんの顔がだんだんと普段の俺に対する顔に戻っていくのが分かった。 「……だから…友達には春さんの思うような…恋愛感情は、持ってないよ」 「ごめん」 最後のまとめを伝え終えるか終えないかの所で、春さんはその逞しい腕を伸ばして俺の肩を抱え込むように抱き締めてきた。 カチンと固まる俺を気にすることなく、春さんの頭が俺の肩口に擦りよせられる。いつも付けてる柑橘系のさっぱりした香りが鼻腔を擽った。 「……春、さん…?」 「疑って」 「あ……ううん、そんな…」 「俺といるのに安成が他のヤツのこと考えてんのかと思ったらムカついた………怒ってる?」

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