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しかし、今日のは絶対に折れてはダメなやつだ。絶対に間違いなく後悔するし、最悪幹部不良達の目の前でチビるか泣き出すかしかねない。そんな生き恥晒すくらいなら、今勇気を出して断る方が己の身の為。
「ごめん、でも、俺…」
「1度だけでいいから。それ以上は言わない。俺だって安成を他の奴の目に晒したくない」
春さんは春さんで今日は引いてくれないらしい。押せ押せモードで、たったの1度だけ、という単語を強調してくる。
「…………1度だけ…?」
「うん」
「ほんとに?ほんとにほんとに1度だけ?…嘘付かない?」
「お前に嘘なんて付けない」
「………」
そして、俺は今日も安定の意志の弱さを発揮してsakuraの集会に参加することになった。
メンタル弱くて意思も弱いヘタレビビリなんて需要ある?ないよね?俺、自分が嫌になるよ。
だけど俺がOKを出した後の春さんの笑顔と言ったら、なんともまあ……
最近、春さんはよく笑うんだ。
慣れたからと言ってもまだ彼に対して怖さを感じる部分は少なからずある。
しかしそれを忘れさせてくれるように春さんは俺に笑顔を見せてくれた。
それは単なる俺の思い上がりなのかも知れない。でもこれが結構嬉しかったりもするのだから俺も大概だ。
この笑顔の為ならたった数時間の恐怖…なんとか乗り越えてみせる!そう思えてしまう程の威力をも持つ。ビビリなこの俺がだよ!?
春さんの笑顔を見上げながら、頑張れ俺!と強く拳を握った。
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