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「……さ、早妃、くん…」 「おー、思い出してくれた?全然こっち向かねぇから忘れられてんのかと思ったわ」 早妃くんの言葉に恐る恐る顔を向けると、隣の不良様は、口元ににっこりと笑みを浮かべた。 でも俺はこの笑顔が1年の時から苦手だった。 ガラが悪いから、とかではなく早妃くんの笑顔は目が笑って無いんだ。 春さん同様目立つ人だったから同じクラスだと嫌でも目に入ってしまうんだけど、誰と喋っていてもその笑顔はどこか作り物めいていて、言葉は悪いが胡散臭い。 話してる相手は気にならないんだろうか。それとも俺だけが気にしてるただの勘違いなのか。 まあ俺が早妃くんと会話をするようなことなんて無かったので、疑問だけが残ったまま学年が上がったと同時にクラスが離れた。だからあの時以来だ。 「………」 やっぱり近くで見ても目が笑ってない。勘違いなんかじゃなかったんだ。きっとこれは本当の笑顔じゃないんだろうな、と頭のどこかで思ってしまう。 「ん?なに?なんか付いてる?」 「ハッ!?はひっ…いえ!なっ、何も!何も付いてないです…!」 しまった。俺としたことが見過ぎていたようだ。不良とは目を合わせない、これに尽きるというのに…危ない危ない。 「早妃さん、仲花サンと知り合いなんっすかー?」 俺たちの会話に突然、唯一年下っぽい人が話に入ってきた。年下だと思った理由は単純に敬語を使っていたからだ。 愛嬌のある子犬みたいな見た目だが、騙されてはいけない。彼もれっきとしたsakuraの幹部。むしろ若いのに幹部にいるってことは相当ヤバいやつと思っていた方がいいだろう…恐ろしや… 「知り合いっつーか、なあ」 「ひえっ、…え?」 ポンと肩を叩かれる。 なあ、ってなんでしょう。 まさか俺から言えって事じゃないですよね。

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