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俺の言葉に一瞬間が空いて、早妃くん以外の周り人達が「ええぇぇええええぇ!?」と素っ頓狂な声をあげて叫んだ。 突然の大声に安定のビビリを発揮しながら、変なことでも言っただろうか?と不安になる。 でも、春さん俺にはめちゃくちゃ優しいし…間違ったことは言ってないはず。 周りの反応に困惑していると、幹部のうちの一人が俺を見ながらしみじみと、 「仲花クン、春に愛されてんだなあ…」 と言った。 「…あああ愛…!!?」 愛。それはすなわちLOVE。 現役DKの俺には聞き慣れない愛だなんて単語に、たちまちボッと顔が火照るのが分かった。 愛されてるなんて、なんてこと言うんだ!不良のくせに!いや、待て!それは不良への偏見だな!ごめんな!!! 「愛ねえ…」 隣から早妃くんの何やら含みのある声が聞こえた矢先、タイミング良く…いや悪いのかな。 「あ!!春さん!おかえりなさい…!」 春さんが帰ってきた。 俺はようやく見知った顔の登場に無意識に安堵の息を吐く。子犬くんが慌てて席を立ち、座る場所を開けたがそれを手で「いい」とでも言うように制止して、春さんは俺の横にストンと腰を落とした。 反対側の早妃くんが「おい春〜。せめーよ」と文句を言うが春さんは気にすることなく俺に体を密着させた。 最近では煙草の匂いは全くせず、柑橘系の香水の香りだけになった春さんに先程の愛という言葉を思い出してしまい、近い距離に変に意識してしまう。 「安成ー」 「…おかえり、春さん」 「ただいま。寂しかった?」 顔を傾けて俺の顔を覗き込む。その仕草にドキッとしてしまった。眉間にシワも寄っておらず、整った表情が余計に心臓に悪い。 「さっ寂しいなんて…!」 そんなことない、と恥ずかしさに否定の言葉を吐こうとしたら春さんの大きな瞳が切なげに揺れた。 …ような気がした。 「…………ちょっとだけしか、思って、ない」 言いながら下を向くと、春さんの大きな手が俺の頭を撫でた。見上げるとふわりと笑う嬉しそうな笑顔。 以前、この人のことをどうしてあんなにも恐れていたのか…本当に目の前の彼は怖い人なのかと疑いたくなるような優しげな笑顔だった。 「安成ビビリだもんね。連れてけば良かった?」 「う…ん…。そうだね」 ビビリって気付いてたのか。まあそりゃ気付くよな。気付いてない方がおかしいよな。でも、分かってるなら最初から置いてくな。 だけど春さんにビビリだとバレていたことよりも、俺はもっと他のことに気付かなければならなかった。

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