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早妃くんとコンセプト統一してんのかってくらいアングラなトイレに入り、用を足す。不良様と並んでトイレに入るなど今までの俺ならあり得なかったことだが、先程までの強面不良ハーレムの衝撃が強すぎて、今ちょっと感覚が麻痺してるんだ。俺にとっては軽くトラウマだよ、あれは。 照明が意味を成していない暗いトイレの中は何か出そうでちょっと怖い。幽霊とか居たらどうしよう…とキョロキョロ辺りを見渡していると、早妃くんが手を洗いながら口元にだけ笑みを浮かべて俺に話し掛けてきた。 「仲花クンすげーなー。春にあんな顔させるなんて。喋り方もだいぶ抑えてんぜアレ。普通に喋るとあんたが怖がるからだろうな」 「?…そ、そうなの…?」 春さんは普段からああじゃ無いのだろうか。でも確かにたまに見せる言葉の端は少し乱暴だが、気にする程でもない。 そうか。わざと、抑えてくれてるのか。 …俺の為に。 春さんと付き合い出してから何度経験したか分からない胸がじわりと温かくなる感覚。この感覚は心地いい。慣れてないから恥ずかしいけど、油断してると頬が蕩けてしまいそうになる。変な顔になってしまいそうだ。 「そーそー。俺らにはあんな優しくねーもん。羨まし」 俺も同じように早妃くんに並び手を洗う。既に洗い終えた早妃くんはピッピッと手に付く水滴を床に散らした。 「でも…皆さんも、俺こんな普通の奴なのに、似合わない、とか別れろ、とか何も言わないよね」 実は大なり小なり言われるのではと少し構えていた部分もあった。 春さんと歩いていると春さん信者に睨まれることがよくあったし、やはり彼ほどの人間と並んで歩くのが俺のような平凡な一般ピーポーなのが気に食わないんだろうな、と思っていたのだ。 しかし、今日彼らは誰1人としてそんなことは言わず、むしろセフレの話をしてきた子犬くんはかなり焦って謝ってきた。俺を春さんの恋人として認めていないとあんな必死には謝らないだろう。 意外だった。 「あー、そりゃ一度やらかして半殺しにされてっからね」 ギクリとする単語を含む内容に似合わないほど、軽やかに笑う早妃くん。 「え…!?ど、どういうこと…?」 「知らない?春があんたみたいな大人しそうな奴と付き合うの初めてじゃねーんだよ。1年くらい前だっけか。他校の奴だけど、俺らとは明らかに毛色の違う女と突然付き合い出したのよ、春」

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