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04
「じゃあね」
「……うん、また明日」
春さんが帰って行く。
いつものように春さんの家でまったり過ごした後、俺を家の前まで送り届けて。
何も、せず。
「………あれ?」
忘れてるのかな。でも解禁日をカウントしてるわけないって思ったの自分だし。
やっぱりそんな細かいことカウントしてるわけなかったってことだよな。大まかに1ヶ月を見てるのかも知れない。だとしたらもう少し先か。
「なんだ…」
………。
別に期待してたわけじゃないけどね!!
今日なら今日って心の準備できてた方がいいかと思って。
逆に良かった!まだまだ準備出来てなかったし、ちょうど良かった!
不思議な気持ちのまま玄関を開ける。
――でも今日はキスも無かったな。
そんなことをぼんやり思った。
ーーー
「どうでもいい」
それから2週間。
既視感を覚える状況に俺は机に突っ伏した。タイミング良くホールスタッフが運んできたのはピーチジュースとバナナパフェ。俺の横には前回と同じアイスカフェラテ。
そして目の前には言葉通り心底どうでも良さそうな顔をした、桃哉くん。
「そんなこと言わないでよおおおお…こんなこと話せるの桃哉くんしか居ないんだからさあ!」
「ったく、このあいだのオドオドしたあなたはどこに行ったんですか。何度か顔を合わせると喋れるようになるとかコミュ障かよ」
「うっ…どうせコミュ障ですよ…」
俺はどうやら、悩むと本屋に行ってミクたんを補充しようとしてしまう癖があるらしい。
そして、ミクたんを前に立ち止まる。そんな俺が邪魔だったのか俺に気付いたのかは不明だが、またもや桃哉くんにバシッと叩かれた。今度は後ろ頭だ。それも容赦ない力加減で。
今日も絶賛死にそうな顔をしていたらしいが、今回は俺の方から桃哉くんを誘ってファミレスに入った。この悩みはどうしても元カノ話を共有している桃哉くんに聞いて欲しかったのだ。
「約束の1ヶ月経ったのにエッチして来ないどころかキスもないとかホントどうでもいい。というか1ヶ月の約束自体が童貞臭くて漫画かよって感じですし、兄貴もよくそんな約束きちんと守ってんなって思います。久々に兄貴を尊敬できましたよ、ええ、ありがとうごうございます。でも俺のミクたんタイム返してください。今頃家に帰ってミクたんとラブラブな時間を過ごしていたというのに」
相変わらずの毒舌マシンガントークだが、今日は前よりマシだ。なにせ話を聞いて貰えるのだから!
「ごめんなさい!でも問題はそこじゃなくて、春さんが何もして来ないことなんだって…!」
「…まあ性欲減退するには若過ぎますしね、ちょっと変ですけどいいじゃないですか。安成さんもまだヤる勇気出てないんだし、元カノのモヤモヤも、まーだ晴らせてないみたいだし?」
まだ、の部分を強調されぐっと言葉を飲み込む。ヘタレで悪かったな。
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