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★麻也王子に車椅子を?→19-3

 「…初日、終わったねえ…」  と、タオルで汗を押さえながら言う、疲れ切った諒の表情には、それでも少し笑みもあった。   自分が元気だったら初日とは思えないほどの高得点だっただろうなと思うと、 ソファに転がっていた麻也はすまなく、悔しく思った。 「初日にしては、すごく良かったんじゃない…」 と、直人も言ってくれたが、真樹は、 「兄貴、今日の疲労度はどうなの? 」 と尋ねてくるので、麻也は口ごもってしまった… すると諒が麻也を見おろしたまま、 「麻也さん、例の奥の手出す? 」 その言葉には、麻也本人もピンとこなかったし、 真樹も直人も聞き返してしまった すると諒は、 「ほら、車椅子をステージで使う話…」 それを聞いて、麻也は自宅でその話をした時の行為を思い出して… 真っ赤になってうつむいてしまった。 「あー、麻也さん何照れてんの? 」 鋭い直人の指摘に麻也はもう苦笑いするしかなかった。 (…諒はひとり、ビーバーな笑顔が可愛いとささやいてくれたが…) そんな麻也を見てますます直人は、 「あー、マジェスティック・クラウドのプレイの時に使う気なんでしょ、 何かわかる気が…」 スタッフも一緒になって笑い、重苦しかった空気がやや明るくなる。 「いや、でも車椅子の方が思うように動けないじゃん… いくらなんでも今日の俺の動きそこまで悪かった? 」 かなり今日はカバーする形になってしまった真樹だったが、 「ううん、そんなことはないけどさ。」 「それに、車椅子だと、かなりカスタマイズしないとギターなんか弾けないし…」 「でも、アンコールの時だけでも、<最新兵器>みたいなデザインので登場すれば、兄貴も楽だし、みんなも喜ぶかもよ。」 諒に至っては、もう須藤に、 「お金…カスタマイズにお金とか、日数とかはどのくらいかかるのかな? 」 とまで言い出していた。 須藤は落ち着いた様子で考え始めていたが、麻也は慌ててそれを止めた。 「いや、まだ、そんな…これから調子が上がってくるとも思うし…」 「そうお? 」 諒は眉をひそめながら、不承不承きいてくれた…

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