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★麻也王子の密かな愉しみ…→19-4

…その日の打ち上げに、麻也と諒は一次会だけしか出なかった。 他のアーティストの曲作りがあるというのが表向きだった。  二人ともアルコールは、乾杯のビールに口をつけただけで、 ホテルに帰してもらったのだ…  …二人きりの部屋で…  諒がシャワーを浴びている間に麻也は、こっそり薬を飲んでベッドに転がっていた。  そして、密かに困っていた。 (…俺、半病人だよ。それなのに…) 正常な状態ではないのに、それで感じる疲れの感覚も違うのに… (…いつものツアーの夜と同じように…)  諒と…のぼりつめたい…そして、二度と離れられないくらい、強く強く抱き合いたい… 激しく麻也の体も心もそれを求めていた。  そうしないと、特に緊張したライブの夜は眠れない。  打ち上げで酔いしれても、それはそれ。  諒と、最もプライベートなことをしないと、 自分の奥に凝り固まってしまうライブ終わり特有のほてりは消えてはくれないのだ… (…ツアーに慣れてきたら、激しくなくても諒の体温だけで寝ちゃうのに…)  その時、諒がシャワーを終えてバスルームから出てきた。 するとすぐ麻也の横に優しく座って、麻也がサイドテーブルに置いていたミネラルウォーターのボトルに目を留め、 「あれ? 水ちゃんと飲んでたんだね。よかった…」 麻也はちょっとドキッとしたが、 うん、と答えただけで余計なことは言わないことにした。 諒は麻也のボトルの水を飲むとすぐに、ベッドサイドの時計をちらっと見て、 「さ、麻也さん寝よう。疲れたでしょ。」 と、さっさと明かりを消されてしまい、フットライトの光だけに…  …しかしそれからの展開は麻也の望んだ通りだった…  バスローブを脱がされると、諒も素肌で重なってきて…耳をくすぐるように囁かれた… 「…麻也さん…クールダウンしよう…」

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