…この日のライブも、初めての地区なのに、大いに盛り上がった。 　そうなると打ち上げは、諒を休ませたい麻也としては、二次会に出ないわけには行かず… まあ、結局、ホテルに戻れば、今回のツアーでは特に、 諒の情熱で体のほてりを冷ますのに時間を割いてもらうことになるわけだが… 　連れて行かれたスナックは、照明は暗めだが結構広くて、大人数が入れる店だった。 　カウンターの前の少し広いスペ一スで、左右に席が分かれており、 麻也たち一行は左のスペースを貸し切りだったが… （店まるごと貸し切りの方がよかったんだけどな…） 店側にしてみれば、麻也たちが来ることも知らしめたいところなのかもしれないが。 右の方のスペースは満員らしく、そして、ファンや追っかけが多いのか、 男女を問わず麻也たちに視線を向けてくるのを感じる… 　いざ宴会が始まっても、本調子ではない麻也はどうにかニコニコして、 地元のイベンタースタッフたちの話を聞いていたが…　 その一方で、真樹と直人が結構話を盛り上げてくれているのがありがたかった…が… 　そこで麻也はこれまで感じたことのない気分の悪さに襲われた。 （なんだろう、これ…） アルコールは確かに、乾杯の時に口をつけてしまったけれど… 麻也の異変に気付いてくれたのはやはり鈴木だった。 仕事のメールでも来たようなふりをして、麻也をその席からさりげなく連れ出すと、 客のいないカウンター席に座らせてくれた。