11 / 42

★麻也王子の空白の時間→19-10

 しかしすぐ我に返ると、諒は震える手で麻也の番号に電話した。 が、留守番サービスに切り替わってしまう。 それでもメールなんてまどろっこしいと、諒は何度も諒はリダイヤルし続ける。  そのうちに、諒は恐ろしいことに思い当たる。 (…まさか、あのオヤジ…) 麻也が自分から進んでついて行ったとは思わない。 でも、部下の若い衆でも使ったら… そこまで考えてしまった諒は、さらに嫌なことを考えてしまう。 (それって 麻也さん酔ってたってこと? ) 元々酒には強い麻也だが、体調が悪い今ならどうかわからない。 (…でも俺がいないところでは飲んでるって言うことかよ…) 怒りを通り越して諒があきれそうになった時… 携帯が鳴った。須藤からだった。 <もしもし麻也さんみつかりましたので安心してください。 それでホテルにこれから帰って、真樹さんの部屋で休んでもらおうかと思ってます…> それを聞いて諒はキレた。 「何だよそれ! 俺んとこに連れてこいよ!俺んとこに寝かせろよ! 当たり前だろ! 」 相手が須藤であることも忘れて、諒は怒鳴りつけていた <分かりました。すみません。すぐ戻ってそうします。> 須藤がそう確約してくれたのを聞いて、それでも諒は複雑な気持ちで電話を切った。  イライラしながら諒が廊下に出て待っていると、 真樹と鈴木に両脇から支えられ須藤に付き添われて、うつむいたまま、 薄いパープル色のスーツの麻也がややあやしい足取りで現れた… 酔っているとは少し違う。諒は何と言葉をかけていいかわからなかった。 無言のまま、部屋のドアを開け、四人を入れるしかなかった。 「兄貴、取り合えず、ベッドで横にならせてもらおう…」

ともだちにシェアしよう!