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★麻也王子、誘拐未遂?→19-11
諒の頭は混乱していたが、ブランケットをめくり、麻也を横たわらせた。
ダブルベッドなのが生々しく思えて恥ずかしくなり、
今度からはツインの部屋にしてもらおうかと思ったぐらい、怒りを覚えていた。
しかしかなり顔色が悪い麻也に諒は言葉もなく、真樹たち三人を代わる代わる見るしかなかった。
真樹をさえ切って鈴木が何か言いかけたが、諒がさらにそれをさえぎった。
「結局麻也さんどこにいたんだよ。」
すると真樹が困ったように、
「二次会の店の近くの交番で…」
若い警官に肩を貸してもらって、交番に入れてもらうところだったという。
「はあ? こんな状態で店を出て行けたって言うの? 」
諒は耳を疑って詰め寄った。
すると真樹がまたマネージャーたちを押しとどめて、
「それが、お巡りさんが言うには、体格のいい、追っ手でも気にしてキョロキョロしてるような若い男二人に抱えられて歩いてたんだって。」
ところがその警官はディスグラのファンで、
今日がこの街でのコンサートと知っていたために、
憧れの麻也が泥酔とも違うどこか異常な様子で、
ファンかもしれないがスタッフには見えない人間にどこかに連れて行かれるように見え、
驚いて声をかけたのだという。
「…そしたらそいつら、お巡りさんに兄貴を押しつけて走って逃げたって…
兄貴は何にも覚えてないっていうし、知り合いといた覚えもないって…」
諒は目の前が真っ暗になった。
警官は、真樹の顔を見て、安心して麻也をすぐに引き渡してくれたのだという。
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