15 / 42
★麻也王子のパートナーということ。→19-14
しかし、真樹は諒の不安を和らげるように、
「ヤバいのじゃないよ。不眠症の薬。あとは、気分が悪くなったら飲む薬…」
「そんな、2種類も? それでああなってんのはどういうわけだよ! 」
すると、鈴木が、
「すみません。その、気分が悪い時の薬をのむのに…
麻也さんにはグレープフルーツの…ジュースだと思って渡しましたけど、
マスターがくれたのはカクテルだったのかも…」
諒は一瞬あきれたが、しかし鈴木が悪いわけではないと思い直し、
そのことはそれ以上追及しなかった。
本当になら麻也に訊けばいいのだが訊けなかった。
「じゃあそれはわかったけど、何で俺に隠してたの!?
おかしいじゃん! 」
自分の声が響いてから、諒は後悔した。
もしあのことが真実なら…そしてそれが告げられても恐ろしいし、隠されているとしたら?
諒は上質のダブルの部屋の真ん中で棒立ちになってしまった。
しかし、何とか、
「…俺は…俺は…みんなにはどう見えてるか知らないけど、
死ぬまで麻也さんのそばにいるつもりなんだけど。
骨を拾うのも俺って思ってるんだよ。
なのになんで俺に教えてくれなかったんだよ。」
「兄貴は諒に心配かけたくないから言うなって…」
「それなら真樹だけでもこっそり俺に教えてくれればいいじゃん。
そんなに俺って信用ないの? そんなことでおろおろするくらいデリケート?
ふざけんなよ。」
諒はまだ怒りが収まらず、
「いやいや俺もおめでたかったな。
ステージでお客さんに心を中でバンドの不調を詫びながら、
商売用とはいえ、馬鹿みたいにメロメロな男を演じてさ。」
(演じる? あれ? )
頭ではわかってきているのに、言葉は止まらない。
今度は須藤に向かって、
「須藤さん、もう麻也さんに変な薬飲ませるのやめて。
あと…」
諒は言葉を慎重に選び、
「俺のいないところでエラい人を接待させるのやめて。
そんなこと続けさせたから、麻也さん体壊したんじゃないの?
遠回しに言うのがやっとだった。
ともだちにシェアしよう!