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★狂わせてこそ華、の麻也王子→19-25
「あ、ああ、確かにその方が動きやすくていいよね。ファンも少しは安心すると思うし。」
鈴木の強い口調に真樹がどうにか答えると、直人も促すように、
「そうだね、イメージ的に、<動ける>ってなるもんね。」
すると鈴木は何か口ごもっているようだった。が、思い切ったように、
「…実はファンの間で、麻也さんの体調が悪そうだとウワサになっているみたいなんです。
さっき、ホテルの玄関に落ちてた手紙にも書いてあったので…」
「なんじゃそりゃ? 」
驚きの声を上げたメンバーの前で、鈴木がスーツの内ポケットから取り出したのは、
しわのついたピンクの封筒…
切手は貼られておらず、宛先は「ディスティニー・アンダーグラウンドマネージャー・鈴木様」。
裏に書かれた差出人の名前は、「魔優より」。
「兄貴の古くからのファンなんだろうね…」
「よく見る追っかけの人なんですよ。昨日のライブにも来てましたし。
さっき、ホテルの前にいたから、入らないで、と言う前にぱっと逃げちゃって。
これが落ちてたんです…」
「それもそうだけど、その人も飛行機に乗ってここまでここまで来たってこと?」
直人があきれたように言うと、諒は、
「ヘンな追っかけは困るけど、公演の制覇はいいんじゃない? <狂わせてこそ華>ってこと、俺は教わったし、マイクの前では実感してるし。」
と、麻也の方に感謝の眼差しを向けた。
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