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★情事のさなかに戸惑う麻也王子→19-28
「とんでもない。ちゃんと眠らせてさしあげますよ。」
そう言って諒は、笑顔の麻也を優しく押し倒した。
麻也のふわふわの長い黒髪が白のシーツにこぼれ、諒の愛しさをかき立てる。
そのうえ、長いまつげに縁どられた麻也の大きな瞳に見つめられれば、
もうその先は…らしくもなく弱っている麻也を貪るしか…
しなやかな麻也の動きが、あえかな声がたまらない…
…とはいえ麻也に体の負担はかけたくないので、
どう誘われても、特にツアー期間は、諒は麻也の中には入らない・・・
というか、入れるのはマッサージを求められた時の指だけにしている。
しかし・・・最近の麻也はこれまでの麻也とは何だか違うように諒には思える。
誘ってくるのは諒も嬉しくないわけではないが、気のせいか、以前のように愛情を確めたくてとか、
恋人同士の甘く淫らな時間を過ごしたい、とか、
そんな感じの、とにかく諒の愛を頼りにしている風ではない。
基本的には男らしい、芯の通った性格の麻也が自分の前だけでは、弱いところを見せてくれるというのにも嬉しさを感じてきたのに…
単に、翌日の仕事のために正常に眠りたいから、そのためだけに自分は求められている気がする…
(それに…普通、彼氏ってのは眠らせないもんだよな...それが、睡眠導入剤になってるもんな…)
しかし、こうも思う。
(...いや、仕事のパートナーでもあるんだから、サポートがあたり前と思えないのがおかしいよな…)
諒は心の中でふたたびため息をついた。
(いやいや、こんなことを考えるのも…)
「…諒? どうかした? 」
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