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★ツアーTのレアな姿の麻也王子→19-30

  …その夜のライブ… 麻也は、やはり思うように動けなかった…     会場がそもそも展示イベント用の建物なので、音も悪いうえに、ステージ上のアンプの音のレスポンスも悪く、 弱っている麻也の神経はほとほとまいってしまったのだ。  そのせいもあって、アンコール前、楽屋に戻ると、着替えもしなくてはいけないのに麻也はどっと座りこんでしまった。   「あ、ごめーん…」   笑顔でごまかそうとしたが、諒にはもちろん通じるわけもなく、   タオルで汗を拭い、背中をさすってくれる。 「兄貴、スーツのお色直しはやめて、ツアーTシャツに着替えるだけにしたら? 」 「そしたら少しは休めるじゃん。」 直人にも言われ、諒に至ってはもうすでにスタッフに白のTシャツを持って来させている。 「麻也さん、今日はスーツの美学はお休みで、これ着よ、ね? 」 「ありがと、そうする…」 いつもツアーTをステージで着ない自分が着ているのを見れば、 ファンは驚くばかりか、ますます体調不良説が広がってしまうかも、とちらっと思ったが、 諒にはすぐに見透かされ、 「ファンはレア感もってくれるから大丈夫だよ。 俺もMCで宣伝するし…」 それを聞きながら水分を取っていると、諒はぎゅっと抱きしめてからスタッフに自分を託してくれた。 そして麻也は上半身を脱がせてもらい、ツアーTシャツを着せられると、少し休むことができた。 諒が手早く自分の着替えをしながらも、心配そうに見守ってくれているのがすごく嬉しかった。  …ようやく麻也が少し落ち着いたところで、メンバーはふたたび、 ファンの待つきらびやかなステージに飛び出していき、 大歓声に包まれた…

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