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★いけない淫らな麻也王子→19-34

 …東京の自宅に戻ったものの…  三日間のオフでは、麻也の体調に好転は見られなかった。  しかし…医師にすら言えないが… 目覚める午後になると…麻也は諒を求めてばかりいた… (俺、どうしちゃったんだろう…)  普通に動ける諒と違って、気分転換やストレス解消がこれしかないってことだろうか… …もう、一石二鳥のマッサージどころではない。 これまでと違って、自分の意思を裏切って、とにかく欲望がわきあがってくる。 (それにしても、諒もあきれてるかも…) 諒は笑顔で応えてくれていたが…   オフの初日は諒と鈴木に付き添われて病院へ行き、担当医に例の事件を説明した。 しかし、前の病院と同じくような、気分が悪くなった時の薬を追加されただけで、 なるべく休養を取るようにと言われてまた帰されてしまった。  諒が気を利かせて鈴木と一緒に席を外してくれたので、医師と2人きりにはなれたが、 やっぱり核心に触れることはできず、ステージの様子を聞かれ、無理しないようにと言われただけ…  夕方は、諒が食料の調達に出かけてくれた。 急に服を買いに行きたくなったので少しだけ遅くなると、メールが来たのだが…  その時、急に、麻也の体の中からとあるものが湧き上がってきて止まらなくなった… (うーん、諒をオカズに…すれば怒られはしないだろうけど…) 本当は諒にガッツリと抱きしめられたい。唇を貪ってほしい。 そして、愛も注ぎ込まれたい… やっぱり自分はあんな過去があっても、諒に愛されるに値すると思いたい。 たとえ、それが自分のエゴだとしても… だから、愛し合っている諒との行為しか自分はできないし、 諒の愛という前提があって、この体は安心して暴走できているのだ。きっと。 (俺が絶対ライブを休まないのも…) ギターを持ってからの自分はどんな災厄にあっても負けていない、変わっていない、 大きくなっただけと証明したいからなのだろう。 (俺は誰にも穢されてなんか、いない…)  だから、諒にメールをした。 ー諒、我慢できない、早く帰ってきて。 諒からはすぐに電話が来た。 <どうしたの、麻也さん? 俺何か悪いことした? そんなに我慢できないほど?> 「あっ、そうじゃなくて…」 仕方がないので、麻也は電話口で甘えた声を出してみた… これが「いけないオフ」の始まりだった…

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