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第4話
「ありがとう先生。」
「暫くはアイツらに絡まれる位だろう。あまり無茶するなよ。」
「はい。」
家の前まで送ってくれた先生は優しく笑い俺の頭をクシャクシャとした。
先生に触れられたら俺なんか変な気分になるんだ。
ドキドキというかギュッと胸を締め付けられる感覚。
「また明日な。」
「はい。先生。」
俺が玄関を開けて家の中に入ろうとすると家の中から妹が泣き叫ぶ声が聞こえてきて俺は先生に向けていた顔を強張らせて慌てて家の中に入り妹の部屋へと向かった。
「何してんだよ!!」
「お兄ちゃん!」
俺が妹の部屋に入ると妹は義父に足を掴まれながらも義父を蹴り必死で抵抗をして逃げようとしていた。
「もう、帰ってきたのか?部屋に鍵かけるの忘れてた。父さんが入るなり美織が抵抗をするからだぞ悪い子だ。」
「美織から離れろ!」
「また、お前は殴られたいのか?美織、待ってなさい。お兄ちゃんを躾けてくるからそれから美織を可愛がってあげるよ。」
義父は美織の足から手を離すと俺に近づいて胸ぐらを掴んで来たから俺も負けずに掴まれた腕を掴み返した。
「勝てると思っているのか?」
「だまれ!」
余裕のある笑みを義父は浮かべている。
最近では義父の方が強くなっていて俺はボコボコになりながら妹を部屋から逃すしかできないでいる。
今日もそれしかない。
美織に目で合図すると部屋から出るはずだったが入り口で美織は止まって後退りしていた。
どうして逃げないんだよ。
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