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第5話
「失礼します。勝手にこちらにお邪魔致しました。佐久間晴翔君の担任の東雲と申します。」
先生・・・。
そっか、俺が慌てて家の中に入ったからそれに先生にも美織の悲鳴は聞こえていたはずだ。
美織・・・美織は大丈夫か?
「お前は先生に話したのか?」
「話すわけないだろ!話せるかよ。」
美織は俺が守ると決めたんだから誰にも相談しないでいたんだ。
「あの・・あの・・・誰にも言わないで下さい。」
「だが・・・君の義父がしている事は悪い事じゃないのかな?」
美織は先生に頼んだけれど先生は難しい顔をしながら俺と義父に近づいてきて掴みあっている腕を掴むと義父の腕だけ捩じり上げた。
「でもこのまま見過ごすわけにはいかない。晴翔が怪我してくるのは義父の仕業ですか?」
「躾けてんだ。何か文句あるのか?」
「躾けてる?そうは見えませんよ。じゃあ、今から俺がする事は躾けと言えますね。それと今からする事を誰かに言うとこの録画した映像をある所へ持っていきます。」
「何言ってる?」
先生は顔色1つ変えずに義父を殴り飛ばして倒れて動かなくなるまで殴りつけていた。
俺も妹もそれを黙って見ている事しかできなかった。
違う痛めつけられている義父を見てもっと苦しめばいいと思ったんだ。
きっと妹も同じだったと思う。
「妹を連れて付いて来い。晴翔。」
「どこに?」
「俺の家だ。」
「でも・・・俺と妹の家はココで母が心配です。」
家を出たら母さんが心配だ。
それに先生の家に行くとか母さんにどう説明する?
俺だけなら良いが美織も一緒となると先生の家に行くならやはりちゃんと説明しなければ納得してもらえない。
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