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幸せな夢を見続けていたい

〈カノン目線〉 僕が目を覚ますと白い天井があった。 爽やかな朝の風が、窓を通して白いカーテンを靡かせている。 あぁ、いつもの朝だ。 「カノン様、おはようございます。お召し換えをしましょうね」 僕の乳母のジャクリーン。 優しいけど、怒るとちょっぴり怖いんだ。 絹でできたパジャマを脱いで、白いシャツに腕を通し、青地に金糸で花の刺繍がされている服を羽織る。ジャクリーンは茶色のリボンタイを結んでくれた。 顔を洗って、食堂にいくと、優しいお父様とお母様、それから僕の自慢のお兄様が「おはよう」と言ってくれる。 僕も「おはよう」と返して、席につく。 家族皆で、祈りを捧げて、食事をとる。 とてもとても幸せな時間。 「ご飯を食べたら、庭に出よう。もうすぐコスモスが咲くからね」 お兄様は優しく、僕の手を引いて、庭を散歩した。 そうだ、コスモス。 お母様と一緒に植えたんだった。 庭にはたくさんのコスモスが咲いていた。 「綺麗だね、お兄様」 お兄様を見上げると、お兄様は険しい顔をしていた。 「……このコスモスを見るのも最後だね」 「え?」 驚いた瞬間、周りが急に暗くなり、真っ黒な手が僕の手を掴み、お兄様と僕を引き裂いた。 「やだ……っ!お兄様!!お兄様!!」 僕とお兄様の間に鉄格子がはまり、お兄様も手を伸ばしている。 「カノン……っ!必ず助けにいくから!!だから……!!」 生きていて 確かに、お兄様はそう言ったのだ。 僕はお兄様の手を掴むことができなかった。

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