22 / 49

怖い鬼?優しい鬼?

〈カノン目線〉 宴会場に入ると、僕は高い天井にビックリした。 そして、とても広い部屋。 鬼八郎(きはちろう)様の部屋の何個分だろう? 僕らが入ると、先に座って待っていた鬼たちが、ざわざわし始めた。 「おい、あれ……」 「人間だ……」 「目の色……」 「本当だ……目の色が両目とも違う……」 もしかしなくとも……僕のこと、だよね? 好奇な目で見られるのは、やっぱり慣れない。 それに、相手は鬼だ。 鬼八郎様は優しい鬼だけど、他の鬼は……。 前に一度襲ってきた小鬼を思い出して、僕は少し震えた。 「カノン」 鬼八郎様は小さな声で、僕を呼ぶと、腕を差し出した。 「怖かったら、抱きついてろ」 震えてしまったの気付いたのかな? 僕は申し訳ないと思いながらも、ぎゅっと鬼八郎様の腕に抱きついた。 あぁ……やっぱり、安心する。 何度、この腕に抱き締められて、助けられただろう。 鬼ヶ島の首領……鬼八郎様のお父様は優しい鬼かな? それとも怖い鬼かな? 鬼八郎様に聞いたら、「怒ったら、怖い」と言われた。 怒らせちゃったらどうしよう……。 そんな心配を鬼八郎様にしたら、 「大丈夫。カノンのことは、絶対に気に入る」 むしろ、取られないようにしないと……と言ってたけど、どういう意味かな? 嫌われるよりも、気に入られるといいな。

ともだちにシェアしよう!