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疲れたから……
〈鬼八郎 目線〉
何だか疲れたな……。
会議って苦手なんだよな~。
委員長になったからには、ちゃんとやるけど、それでも、あの堅っ苦しい雰囲気が苦手だ。
あ、でも見回りは好きだな。
町の皆とお喋りできるし、何より外に出るのが楽しいっ!
……あと、鬼一 とも、仲直りできて良かった。
何だかんだで、幼なじみで、一番長く付き合いのある友達だし。
頭いいし、頼りになる。
そんなことを思いながら、俺はカノンの布団に横になっていた。
最近は、カノンの部屋で過ごすことが多くなり、夜はカノンと一緒に眠る。
べ、別に変なことはしてないぞ!
……ちょっと、手を握るくらいだっ。
「鬼八郎様?何だか、お疲れな顔をしてますね」
寝そべっている俺の顔を見ながら、カノンは心配してくれている。
本当に優しい。
「うん……ちょっと、祭りの会議とか考えなきゃいけないことが増えてて……疲れてるかも」
「あの……僕に出来ること、ありますか?」
「え?」
カノンは俺に近づきながら、見つめる。
ゆらゆらと瞳を潤ませながら。
「僕、鬼八郎様に……たくさんのお金で買われたって知ってて……だから、その分頑張って働かなきゃいけないんだって思ってました。でも、実際は、部屋もくれて、着物もご飯もくれて……遊んでるだけだし……」
不安げな二色の瞳が俺を映す。
「僕も、何か鬼八郎様のお役に立ちたい……」
「カノン……」
そんなこと考えてたのか。
俺はぽんとカノンの柔らかい金色の髪を撫でた。
「そんなこと気にするなよ。俺はカノンが傍にいてくれたら充分なんだよ」
「鬼八郎様……でも、僕……本当に何もしてない……あっ」
カノンは何かを思い出したように、声をあげた。
「夜伽 のお相手になるとか……」
え?
今、何て言ったの?
夜伽?
夜伽ってあれでしょ?
偉いさんが、夜のお相手にあんなことやこんなことしちゃういかがわしい行為のことでしょ?
「ダメダメダメダメダメだ!!」
俺は大慌てでカノンを止めた。
そんなことしたら……俺、絶対止まらなくなる!!
そもそも、俺たち口づけだって、まだなのに……っ!
「だ、ダメなのですか……」
うぅ、カノンの切ない顔が俺の良心をちくちくさせる。
「と、とにかく!そういうのはダメだ!」
「僕、夜伽って、よくわからないんですけど……一番初めにお会いしたときに、鬼一様が『夜伽の相手にするのか?』って言ってたから……そのお相手なら、できるのかなって思って……」
鬼一め……!
「カノン、夜伽の意味は……知らなくてもいい。でも、俺はそういう相手はいらないし、カノンが笑顔でいてくれたら、それでいい」
「鬼八郎様……でも……」
カノンの身からすると、働いていないってことが苦なのかなぁ。
「……分かった!じゃあ、こうしよう!」
「これで……いいんですか……?」
「うん……あー気持ちいい……」
「こことかどうですか?」
「あっ……いいな……もっと……強く……」
「痛くないですか……?」
「痛くない……むしろ、もうちょい力を入れてもいいかな……んんぅ」
「はい……!」
俺は今、カノンに背中や腰を揉んでもらっている。
カノンは一生懸命、腰やら肩やらを揉んでくれている。
初めは遠慮してなかなか強く揉んでくれなかったカノンも、今はぐっぐっと背中や腰を強めに押してくれる。
「指とか手、痛くないか?」
「大丈夫です……っ、これくらい、鬼八郎様の、お役に立てて、嬉しいです……!」
うつ伏せになってるから分からないけど、きっとカノンはニコニコ笑っている。
あぁ……何か気持ちよすぎて、眠たくなってきた……
俺は閉じていく瞼を開けることができず、そのまま眠りに落ちた。
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