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第5話

「先生。卒業したら、デートとかしたいですね」 「…そうだな」 陽介は、曖昧に答えた。 今はまだ、自分達の関係が続くと樹は本気で思っているようだった。 しかし、そんなことはない。 2日後の卒業式が終われば、樹は新しい世界へ行く。中学や高校では会えなかったような人達と出会い、世間を知って、自分を新たに理解し、将来の事も今より身近に、真剣に考え出す。 所詮、高校までは閉じた世界なのだ。 まるで、その空間が、そこにいる人達が、世界と勘違いしている。世界は広く、今、在る感情は単なる閉鎖空間のみで作られたモノでしかない。 (だから、きっとーーこいつもすぐに俺の事なんか忘れるさ) そう。 かつて、自分がそうしたように。

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