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第36話
俺の答えに大きく目を見開き驚く璃人さん
「っ…美空くん…それは…ダメ…」
「だって…」
「勘違いしちゃうでしょ」
「…だって…脅してきたくせに何もしないからかえって…」
「怖い?」
「…」
無言で頷くとベッドに腰掛け俺を抱き締めた
「はぁ…もう…可愛い…」
「可愛くない…」
本当に何を考えているのかわからないのが怖い…
「ねぇ。美空くん」
「…」
「俺さ…本気になっちゃったみたい…君のこと…だから…」
たった2日一緒に過ごしただけなのに…
「だからさ…簡単に手を出せなくなった…君には好きな人がいるよね?お父さんとのことで諦めた人…」
「何で…それを…」
「調べている内に…だから…俺は絶対に君を好きにならないって決めていたし好きになるわけがないと思ってた…でも…だめだった…君の沢山の表情見てたら…」
「璃人さん…」
「男なんて真っ平って思っていたのに…それなのに…」
苦しそうな璃人さんを思わず抱き締めた
こんなに震えている…あなたは何を抱えているんですか?
聞けないで言葉を飲み込む…
「美空くん。明日からきっと大きく変わるから…だから…今日で最後…」
「え?」
「またどこかで偶然にでも出会わないと会えない…だから…勘違いさせないで?…」
「璃人さん…璃人さんなら…いいよ…ねぇ…抱いてよ。」
「でも…ダメ。きっと後悔するから…ね?だから…」
「俺は…今…あなたに抱かれたい…」
自分でも何言ってるんだろうって思う…でも本当は優しい彼に何かあげたい。
俺の体でいいならあげたい。先輩のことはもう諦めてしまったし…そもそも父や睦月と寝ているんだから今さら誰に抱かれても結局同じこと。
だったらこの人に…
「ダメだよ…美空くん」
「だって…俺だけ沢山貰ったのに俺は…」
「いいんだよ。君の笑顔が見られた。それで十分」
「璃人さん…」
「俺は仕事してくるね。おやすみ」
璃人さんが背を向け部屋を出ていった
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