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第40話

「こんにちは」 「いらっしゃい」 二人のやり取りを見守る。 「何で…美空くんと?」 「水無月があなたに用があると言ったから」 「…あの…」 「あぁ…うん…まぁ二人ともあがって」 相変わらずきれいな部屋のソファーに腰かける 「…」 「まさか…美空くんが訪ねてくるとは思ってなかったよ」 「…俺も…先輩と知り合いなんて…知らなかったです…だって…あのときは…」 「まぁ…いろいろあってね」 そういうと耳元で俺にしか聞こえないように璃人さんが問う 「女装のことは話してる?」 「…」 無言で首を横に降る それを見て頷いた璃人さんが先輩へ視線をやる。先に話し始めたのは先輩だった 「あのときはありがとうございました。水無月を守ってくれて」 「え?」 「…お父さんのことでここにきたんでしょ?美空くんは」 「はい…あの…俺…まさかあなたが円山の次期社長なんて知らなくて…」 そう。璃人さんの本名は円山 璃人。成兼はお母さんの旧姓だったのだ だから父を助けてくれたのは璃人さんだ 「でもね。ちょっと勘違いしてる」 「え?」 「データを先に見つけたのは俺じゃない」 「え?」 「…皆にも話してないこと…お前には話すよ」

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