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第70話

どれくらい呆然としていたんだろう。 あんな怖い顔の睦月。あまり見たことがない 睦月が感情を露にすることはそう多くはなかったから 部屋のドアが開き入ってきたのは先輩だった…ダメ…まだ…整理がつかないから 「美空。昨日はごめん…近くに来てくれてたんだろ。ごめんな…」 「やだ…聞きたくない…やだ…」 「聞いて…美空…昨日のは違うんだ」 「俺より優先にした…」 「ごめん…」 「…先輩…もう…いい…わかってるから…いつかは来るってわかってたから…ちゃんとお別れするから…だから…今は待って」 布団の上から抱き締められる 「俺は別れない」 「やだ…都合のいい奴になりたくない…やだ…」 「昨日の人は俺の生みの母親だよ。ずっと仕事で海外に行ってて昨日は仕事で戻ってきて昨日のうちに帰った」 「お母さん…」 「うん。暫く振りで大学の前にいたから断れなくて。あの人目立つし…ちゃんと説明すればよかった…ごめん…母が帰ったあとお前に会いたくて何度も連絡した…ちゃんと…話したくて…お前と過ごしたくて」 「本当に…お母さん…?」 「そうだよ。信じられないなら親父に会わせる」 「お父さん…」 「呼ぶから」 「…忙しいでしょ…だから…いい…」 「お前に信じてもらえるなら何でもする もしもし親父。すぐ来て」 数分後先輩のお父さんがやってきた 「ごめんね。美空くん。心配させて。リサは…こいつの産みの親はかなり自由奔放で昨日の約束俺も知っていたから止めたんだけど聞く耳持ってくれなくて。数時間しか日本にいれないからどうしてもって言われたら何も言えなくて…ごめんね」 先輩のスマホが今度は鳴る。テレビ通話だ 「葉月!!ごめんねぇ!!私のせいで恋人傷つけちゃったんでしょ?」 画面に写し出された人は確かに昨日の人だ 「初めまして。美空くん。葉月から話は聞いてる。ごめんね…泣かせちゃった…ごめん…私も軽率だった…ごめんね」 「いえ…」 「葉月はあなたを裏切ったりはしないわ。だから信じて。私が…言えた立場でもないけど。本当にごめんね」 「わかりました…すいません…俺…」 「葉月が選んだ子。間違いないわ。これからも仲良くしてあげてね。不安にさせてごめんね」 「はい…」 電話が終わり先輩のお父さんも帰っていった。 忙しいのに… 「美空…俺はお前じゃないとダメなんだ…ごめんね。離してあげられない」 「先輩…ごめんなさい…ごめんなさい…」

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