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第73話
スタッフルームに行くと店長がにこりと微笑んだ
「ごめんな。美空。あがりなのに」
「いえ。何ですか?」
「あのな。上からお前について話が来て」
何かやらかしてしまっただろうか?お客さんと近くなりすぎた?大きなクレーム?
「…」
「美空?」
「俺…何か…」
ガチャ
「お疲れ」
「お疲れ様です。工藤さん」
工藤さんはこの店のオーナーだ。
「お疲れ。水無月。」
「あの…」
オーナーはここに来ることは滅多にない…わざわざ来る理由は…何?
店長の隣に腰掛け俺のことをじっと見てくる。その視線が緊張感を煽る
「うん。水無月お前さ高校卒業後どうするの?」
「…まだ決めてないんです…」
「…やりたいことは?」
「それも…わからなくて…」
「これは俺たちからの提案なんだが」
「はい…」
「お前がよければここで社員にならないか?」
「え?」
「お前の評判はかなり聞く。そのほとんどがお前の接客を称賛する内容だ」
「そうなんですか?」
「お前は客のことよくみている。誰が今何をして欲しいのかそれが良くわかっている。誰よりも菓子のこと良くわかっている。商品を産み出す能力にも長けている。それをここで活かして貰えないだろうか」
オーナーが射るように俺を見る
「どうだ?」
「あの…考えさせてもらってもいいですか?」
「わかった。いい返事待ってる」
まさかの社員登用…驚きすぎて言葉が出なかった
父に話そうと思って考えると伝えたけれど気持ちは決まっていた。
ここでの仕事はとても遣り甲斐もあり楽しい。
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