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第104話
陽平side
「…これ…どういうこと?」
戸惑う祥が可愛い、いじめたくなる
「何が?」
「冗談やめて…もうすぐ一輝くるんだけど」
「いいじゃん。」
その顔…そそるな…不安そうに俺を見る少し色素の薄い瞳に吸い込まれそうだ
「いい加減にして。下りて」
怒ってる顔も可愛い
「やだっていったら?」
「バカなの?笑えないんだけど」
「ちゅっ」
「んあっ…ちょっ…陽平…やめて…」
感じやすい体がうっすらピンクに染まる。祥じゃなければすぐにでも…どんな手を使ってでも俺のものにするのに
「いやっ…んっ…」
「可愛いなぁ。お前の声」
「本当にやめて…やめてよ…陽平…どうしちゃったの?」
「お前を啼かせなくなった。そんなに苦しそうな顔で恋人の話するくらいだったらやめればいいのに…俺ならそんな顔させないのに…」
祥の薄い唇に俺のを重ねる。気持ちいい…深いのなんてするつもりなかったけど我慢できなくて祥を味わった
「んっ…んっ…」
「かわいい…祥…」
その時扉が開いた。久富がきたのだ。でもあえて無視して祥を抱き締めた
俺の胸を一生懸命叩く祥が可愛い。
久富に見られ動揺しているのだろう
「祥一くん…」
久富が良く通る声で名前を呼ぶと祥が激しく抵抗した
「んっ!やだって!!陽平」
全力で俺を拒否する祥を離してやり振り返る
「こんにちは。センセ」
「陽平…くん…」
久富は嫉妬に燃える炎を瞳に浮かべていた
思惑通り…
「ねぇ。センセ。祥が不安なの気づいてる?」
こんなに好かれてるくせに…気付いてないとかないだろ?
「祥一くんから離れて」
「いやだ…と言ったら?」
「ちっ…ふざけんな。俺の祥一だ。離れろ」
「一輝…」
小さく呟く祥を見つめる。うっとりしてもう俺のことは見ていない
久富が俺を祥の上から引き剥がし祥を自分の後ろに隠した
「へぇ…あんたそんな顔するんだ…昔…あんなに酷いことしたのに…ね?」
「っ…」
罪悪感と後悔が揺らめく瞳で俺をみている。でもそれは逆に言えば今は祥を本当に心から愛しているということ…
「俺見たことあったんだよね。あんたが祥を玩具にしてたとこ」
「あれは…」
「祥は何も言わないしあんたのこと庇うから俺は何も出来なかった。今よりもガキだったし。それが何でこうなったのかは知らないけど祥に本気なら祥を不安にさせるようなことしないでくれる?俺の大事な友達だから。祥の苦しそうな顔はみたくない。ねぇセンセ。祥のこと本当に好き?遊びとか暇潰しとかじゃない?」
「本気だ。祥一が誰かに触られることがいやだ。周りの目が…祥一を見るときの目が嫌だ。祥一が誰よりも愛しい。祥一は綺麗だし優しい。俺が隣にいていい奴でないことくらい俺が一番わかってる。でも…これだけは…祥一を思う気持ちだけは誰にも譲れない」
聞かなくてもわかっていたこと。だから…俺の大切な親友を傷付けないで。手を離さないで…
「一輝…」
「確かに酷いことをした…過去だからなんて許されることはない」
「その時の罪滅ぼしのために付き合ってるわけじゃないんだよね?」
「…それは完全に否定はしない。でもそれ抜きでも俺は祥一がいないとダメなんだ…こんなに好きになることなんてなかったんだ。祥一が好き…愛してる。絶対に譲れない」
「なら…それ言ってあげてよ。祥はね誰よりも繊細で…凄く…凄く臆病なんだ。あんたが離れることがあれば祥は壊れる。それだけ祥はあんたのことを好きなんだ。もし…祥を傷付けるようなことがあれば俺が許さないから。じゃあね」
祥はたくさん我慢するやつなんだ…全て受け止めて上げて
「陽平くん…」
「…」
何も言わず二人に背を向け家を出た
「祥…幸せになって」
天を仰ぎ見た
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