114 / 184

第114話

陽平side あれから祥は俺にしか心を許さなくなった。 みんなはそれには気付いていない。 祥の張り付けた笑顔に気付くことは難しいだろう。 祥には恋人も出来たが以前の俺みたいな…とまでは言わないがどんなに相手を思い尽くそうとしても心からのそれではないからか誰とも長くは続かなかった 俺はあれ以来誰も抱かなくなった。 あの日…祥を抱いた日から… 俺さえ…いい加減なことをしなければ久富を失うことなんてなかったのに… 自分を呪った…もう祥には顔向け出来ないと思っていた…あのとき俺は椿原と別れた。そんなのじゃ何の戒めにもならないけれど少しでも俺も何か失わなければならないと思った 俺の心情を察し椿原は大人しく身を引いた。 そんなとき祥がうちにやって来て抱いて欲しいと懇願してきた。 断るなんて出来なかった…むしろ喉の乾きを潤すようにお互いを貪り合いそして少しの隙間を埋めるよう互いの熱を感じていた 椿原は相変わらず様子は見に来てくれていたしどうしようもないときは抱いてくれたけどでもよりを戻そうとは思わなかった 「ねぇ。陽平。俺さ恒に告られた」 「で?」 「断った。恒がそんなに長く思ってくれていたなんて知らなくて…だから断った。そんな大切な気持ち俺には受け止めきれないから」 「そうか。まぁ恒星ならわかってくれるだろ」 「うん。わかってくれた。ねぇ。陽平今日泊まってっていい?」 「いいけど親は大丈夫?」 「今日は帰らないから…」 祥は家で一人でいることを嫌がった。あの家にいればどこを見たって久富の思い出が溢れてしまうから 「どうする?久しぶりにやる?」 「やんねぇ。」 「それなら解してこなくていいね。OK。風呂借りるねぇ」 「おぅ」

ともだちにシェアしよう!