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第175話
『美空と連絡とれない…何か聞いていないか?』
先輩から電話が来た。
「え?美空と会ってないんですか?」
『会うはずだったんだけどちょっと用が出来て会えなくなったんだ…』
「は?」
美空より大切な用ってなんだよ…問い詰めたいけれどそれより今は美空が心配だ
「家に行ってきます」
『ありがとう。俺も今から向かう』
電話を切り美空の家に向かう。途中何度も連絡するけれど電源が入っていないのか繋がらなかった。
何で?どうして?さっきまであんなに嬉しそうだったのに…
何かに巻き込まれてしまったのだろうか?
息が上がるのも省みず只管走った
美空の家は人の気配はない。
勝手に敷地内に入ってはいけないとは思ったけれど玄関に行く。鍵は閉まっていなかった。扉を開けると美空の靴が無造作に脱ぎ捨ててあって今日選んでやったジャケットが放ってある。
それを拾い美空の部屋に向かうと服がバラバラに置いてあってベッドの中央に膨らみがあった
美空がいることに安堵しホッと息を吐きベッドの脇まで言って話し掛ける
「おはよ」
突然の声に美空がびくりと肩を震わせゆっくり目を開けた。泣いていたのだろう…その目は赤く充血し瞼が少し腫れているように見えた
「美空。すごい顔してるね」
「睦月…」
「全然連絡とれないから心配した。鍵開けっぱなしだったよ。無用心だね」
美空の髪を鋤きながら話す
「…」
「何があったの?」
「…先輩と別れる」
は?突然何を言い出すのだろう…あんなに…
「何で?」
「…俺…男だし」
「今さら?」
本当に…何があった?
「やっぱり先輩には綺麗な女の人が似合うから。大学いっちゃったら出会いも沢山あるだろうし会えることも減る。だったら…今のうちに…」
苦しそうに言葉を紡ぐ美空の大きな目からまたポロリとしずく落ちた
「それでいいの?」
「うん。もう決めたから」
本当は嫌なくせに…離れたくないって全身で訴えてるくせに…
「だったら今ここに呼んで別れるって話したら?俺見届けてやるから」
「先輩に会いたくない…」
その時背後から音がする。やっと到着か…振り返ると心配そうな泣きそうな顔をした先輩。
「美空…」
何だよ…どう見ても別れる要素なんて無いじゃないか…こんなにもお互いを思っているのに…
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