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第6話
「どうしたの?」
じーっと横顔を見つめてしまっていた俺に不思議そうに首を傾げながら問う…何か…何か…可愛い…
「あ…いいえ。カッコいいので彼女さんいるのかなって思って」
「カッコ良くないよ。彼女もいない」
「どんな子がタイプなんですか?」
「ん~…何でも一生懸命で小動物みたいな子かな」
先輩が空を見上げながら話す…きっと好きな人いるんだ…その人を思い出してるのかな…痛い…な…
「そうなんですね」
「みくちゃんは?あ…気安くごめん…年も聞いてない…俺18で黄昏高校3年だよ。君の年聞いても?」
「あ…17です」
「高校生?」
「はい」
「そ。何か親近感」
「そうですね。葉月せ…さん…は好きな人いるんですか?」
「ん~いるよ」
やっぱり…羨ましいな…
「みくちゃん?」
「はい」
「大丈夫?」
「大丈夫ですよ。ただ葉月さんが好きな人が私といるのみたら誤解…しません?」
「ん~…どうだろうな…この気持ちは伝えるつもりもないし」
「え?何で?」
「ん~…叶わない可能性の方が高いし…それなら何も変わらない方がいい」
「そんな!葉月さんは素敵な人だからきっとうまく行きますよ!」
「ははっ…だといいね…」
とても苦しそうな顔…どうして?
「私だったら…きっと好きになるのにな…」
「ありがとう」
「でも…でも…伝えないと…先に進めないんじゃないですか?」
これは、俺自身に言い聞かせているようなもの…俺も葉月先輩に気持ちなんてきっと伝えられない…だったら今のままがいい…わかるんだけれど…でも…もしも…うまくいかなくて…他を見るのなら…俺にもチャンスが…
何て…うまく行くに決まってる…こんな素敵な人なんだから…
「みくちゃん?大丈夫?もしかして他に痛いところあった?泣きそうだよ?」
「あ…いえ…大丈夫です」
「なんかさ…みくちゃんと俺…どっかで会ったことある?」
「え?!いやっ…ないですよ」
「そう…」
何だかとっても苦しそうな顔…
「葉月さん?」
「ん?」
次の瞬間は元の葉月先輩だった
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