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第8話

自宅に戻り着替える 後一時間程で父が帰ってくる お風呂を沸かして晩御飯を用意する いつもと同じ夜 「ただいま!!」 玄関に小走りで向かう 「おかえりなさい。」 するといつものようにただいまのハグとキスの嵐がやってくる 「ただいま。美音」 今日は…そう見えるのか… 「父さん。やめて」 「あ。悪い悪い。あまりにも可愛いから」 「はいはい…」 「美空は?」 「ん?出掛けてるよ」 「そうかぁ…」 母は数年前亡くなっている…でも父の中にまだ母は生きているんだ… 「今日のご飯は美音が作ってくれたの?」 「うん。」 「そっかぁ…やっぱり美音の料理は格別だな」 「ありがとう」 母さんは料理がとても得意だった。母さんのオリジナルのレシピを片手に毎日作ることが日課になっている あの日は…母さんが死んで丁度一週間ほどたった頃だった。 本当に何でもない日常会話で俺は父に『母さんは?』そう聞いてきた。 何をいっているんだろう…? 不思議に思ったけれど亡くなったことを伝えた。 すると父は取り乱し俺は殺されかけた それから暫くは死んだことを伝え続けていたが父は受け入れず…気づけば俺は母が生きているかのように振る舞うようになった 俺と母は瓜二つで父は俺を母さんだと思うことも増えてきた。最近は俺の名前を呼んでくれることは少なくなってきた 「美音。久しぶりに一緒に風呂に入らないか?」 「今はあれだから…ダメ…」 「そっか…残念…」 「ごめんね」 「また今度ね」 「うん」 母に見えている間は俺は母のように振る舞わなければならない… 「美音。一緒に寝よう?」 「うん」 深い深いキスをされる。気持ち悪い…でも…父が壊れてしまうのは嫌だった 「っ…んっ…」 「美音…可愛い…」 「あっ…だめっ…!」 「じゃあ…俺の…してくれる?」 「うん…」 父のいいところはもう覚えてしまった… 何も考えずに父を高みへ誘う。口内で果てた父はそのまま眠る… そっとベッドから這い出して口の中を濯ぐ…何度も濯いでも父の味が消えない… 涙が溢れる…父さん…早く正気に戻って… 翌朝父はスッキリした様子で起き出してきた 「おはよう。美空」 「おはよ。」 「母さんは?」 「もう出掛けたよ?」 「そっか…」 悲しそうに俯いて黙って朝食を平らげ仕事に向かう父を見送った…とても…とても…疲れた…でも学校にいけばあの人がいるから… いつもの朝…学校へ向かった

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