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第13話

「んーっ…あーっ…」 「水無月…泣くな泣くな。これはこの公式を当てはめれば大丈夫。やってみ?」 「えーんっ…こんなの将来使わないのにぃ…」 「こらこら…お前甘いもの好きだろ?後で俺の作ってきたやつやるから。なっ?水無月ならだーいじょぶ!!」 「あーい…やってみます…」 今日は葉月先輩に教えてもらっている…でも…わからないものはわからないんだぁ… 「ん~…ならさ…ここをこうしてみて?」 「ん?あ!!あーっ!わかったぁ!!そういうことかぁ!!」 「よしっ!!いい子」 葉月先輩が撫でてくれる…うわぁ…気持ちいい… 教師よりわかりやすい教え方に感動していた。 「先輩!先輩!できたぁ!」 「ん。もう大丈夫だな。よしっ。じゃ今日はここまでねっ!」 「はぁい」 「はい!ご褒美。今日はカップケーキだよ」 「ありがとうございますっ!!食べていい?」 「いいよ」 この間のマカロンもかなり美味しかった!そしてこのカップケーキも! 「おいしい!!先輩パティシエにならないんですか?」 「…ん~…どうかな…」 「なって欲しいなぁ…もしそうなったら俺一番のお客さんになる!!」 「ふふっ…お前の顔見てると食べさせたくなるよ」 「いつでも試食お待ちしてます!!」 「期待しないで待ってて」 「先輩?」 「ん?何?」 先輩の表情が何だか冴えないような気がして首を傾げる でもそれは一瞬のことでもういつもの先輩だ…なんだったんだろ?…やっぱバカな俺に教えるの疲れちゃったかな…やっぱり甘えない方がいい? 「何でもないです」 「そう?何でもないような顔じゃないけどねぇ」 ふっと笑うといつものようにポンポンと頭を撫でてくれた それだけでこんなにも胸が熱い 「よしっ!帰ろっか。送るよ?」 「いやいや…大丈夫ですよ。俺男ですし」 「そう?んならまた明後日かな」 「はい。ありがとうございました」

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