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第20話
風呂から上がり睦月にメッセージを送る
『ごめん。さっきのなかったことにして』
『わかった。また明日学校でな』
ごめんね…睦月…俺のこと心配してくれたのに
「食べた?」
「あぁ。今日もうまかった。ごちそうさま」
「お風呂入ってきたら」
「そうする」
父の食事の後片付けをする。そういえば俺も食べてなかったが…あまり食欲がわかない…
残っていたおかずを一摘みして片付けた
これから…父だけに抱かれる…でないと…みんなを汚してしまう…
片付けて紅茶を飲んでいると呼び出し音が鳴り響いた。俺に電話をしてくる人はあまりいないので父のだ
父のディスプレイを見てみると知らない番号。
風呂場へ行き父に伝える
「父さんプライベートの方の電話鳴ってる」
「だれ?」
「わかんない。登録してないみたい」
「わかった。そのままにしておいて」
「はぁい」
父は仕事柄取引先からの連絡が来ることが良くある。しかしそれは会社から渡される方にであってこっちにかかることあまりはないはず…
父が上がってきてディスプレイに表示される番号をみて嫌そうに顔を歪めた
「誰だったの?」
その問いに父は答えず
「…話をしよう…」
そう言い俺を抱き抱え自分の膝の上に俺を乗せソファに腰かける
父に背中を預けると父が腹に腕を巻き付ける。そして俺の肩に顎を置いた
「昨日のことなんだけど…」
「うん」
「実は…俺相手方に相当飲まされて…」
酒に強い父がフラフラだったのだからその量は並の量ではないだろう
「ついうとうとしてしまって…眠ってしまったのはほんの数分だったと思う。起きてみると水が差し出された。取引先の奴に。申し訳なくてそれを飲み干したら…体が熱くなって。動けなくなってしまった。取引先の数名の男に支えられるようにして会食のあったホテルの一室に連れていかれた。そしたら…服を全部脱がされた。抵抗なんてできなくて…」
力の強い父が抵抗できないほどの強い…おそらく媚薬…俺も何度も使われてきたからその力はわかる
「わけがわからなくて呆然としていると取引先の偉いさんが…服を脱ぎ俺に股がった…みている光景が信じられなくて…そのあと…数人の男や女がやって来た…そして…俺は…複数人と…」
父の話を聞きながらそんなことがこんな父にでも起こるんだと他人事かのように思えた。
「気持ち悪いのに体は反応を…俺の意思とは関係なく…薬が抜けてやっと家にたどり着いてお前をみたら…触りたくなった…我慢が効かなかった…」
「うん…」
「そのときの写真や動画が撮られてしまって…今脅されている…向こうはそういう知識を専門とするスペシャリストの集まり…データを取り返すことができない…仕事であれば強い味方だが…しかし…それは敵に回せば…恐ろしい相手でもある…あいつらの持ってきたデータ…美音が…母さんが死んでもういないことまで…事細かく記されていて…俺は…美音がもういないと理解した…
理解し愕然とする俺にあいつは結婚の約束をさせようとした
何故か相手方に相当気に入られてしまったようでな…
ずっと以前から美音がいると断ってきていたからもう断る理由はないだろうと詰め寄ってきた…それでも俺は断った。でも…あいつは諦める様子がない…婚約しないのであれば毎日自分達の相手をしろ…そう言われた。
それに従わなければ…今度は美空に何かしてくるかもしれないしあのデータは間違いなく流出させるのだろう…あいつらが有利になるように編集するのなんてお手の物…そうなると会社にも被害が及ぶしお前にも…だから…従うしかない…絶対に婚約なんてしたくない。そんなやつらと…
俺は美音と美空しか家族にしたくない…汚れてしまった俺を…慰めてくれ…あいつらとの行為のあとはどうしてもお前が…欲しくなる…欲しくて堪らなくなる…ねぇ…美空…お願いだ…俺を…受け入れて…」
これまで側で頑張ってきた父を何とか支えてあげたくて俺は頷いた…
データさえなんとか出来れば…でも相手の社名を聞きそれは無理なことだとすぐに理解できた
その会社の力はすごいことはあまり世間がわからない俺でさえわかる。こことの提携が切れたら父の会社は大打撃…業績が悪くなるのは必然だし…最悪…倒産もあり得るくらいの大企業だった
「さっきの電話はその相手…」
話しているとけたたましく着信音が鳴り響いた…
父は無視することを決め込んだが次はメールの通知音がなる。
『電話出てくれないとデータ流しますよ』
添付ファイルは父が相手を無理矢理犯しているように加工された動画だった…
「っ…くそっ…ごめん…美空…」
服を捲られ胸の飾りを刺激される…
「んっ…あっ…」
「美空…愛してる…」
そのまま愛された俺は事が終わると部屋のベッドに運ばれた。
「ごめんね…美空…」
「行くの?」
「行ってくる」
本当に嫌そうに父は着替えもう一度部屋に来ると俺の額にキスをした。
「父さん…もっとして?」
自らキスをねだると父は嬉しそうに…でもとても苦しそうに笑った。
玄関の扉が閉まる…これが俺たちの日常になるんだ…そう思い目を閉じた…俺も覚悟決めなきゃ…
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