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第27話

「で本題なんだけどさ…みくちゃんうちでバイトしない?彼氏も一緒でいいし」 「彼氏じゃないですよ。幼馴染みです」 「そうなの?」 「俺とみそ…みくは幼稚園からずっと一緒の腐れ縁なんですよ」 「そうなんだね。それで、みくちゃんには新メニューを一緒に考えてほしくて」 「え?」 「あれだけ美味しそうに食べてくれるし目も肥えていそうだ。ここは見ての通り男ばかり。だから女の子の意見が欲しい。でも他のお客さんでは間違いが起こりかねない。ケーキが目当てでなくスタッフが目当ての子がほとんどだから。 だからちゃんとアドバイスしてくれそうな君にお願いしたい。男ばかりのところに女の子の一人いれるのもきっと幼馴染みとして心配だろうから君…あ…名前は?」 「睦月です。雪割 睦月」 「綺麗な名前だね。」 「ありがとうございます」 「睦月くんもみくちゃんの入るときだけでいいからどうかな?ちゃんと給料は出すよ」 やりたい…でも…俺は男…そういうわけにはいかない。もしバレたら?既に裏切っているような物だけど… 「すいません…別のバイトをしているので…」 「そうか…残念…じゃあさ…第二水曜日に通ってくれない?」 「でも…それって店休日ですよね?」 「それも知ってくれてるんだ。ありがとう。 そう。店休日。でもねその日は新メニューをいつも考えてるんだ。だから俺と亀はここにいる。たまに、キッチンの子達もきてるけど。その時新メニュー出すから感想だけでも聞かせて欲しい。勿論お代はいらない。 …だめ?かな?」 そんな可愛らしく問われたら… 「みく。それならいいんじゃない?お前もここ好きだろ?」 「でも…私でいいんですか?」 「うん。君がいい。睦月くんもスイーツ好きそうだよね。君も一緒にどう?」 「こいつがやるなら…」 新メニューを最初に見られるなんて…最高だ…ばれるのは…怖いけど…やりたい… 「じゃあ…お願いします」 「よかった。ありがとう。通ってるうちに気に入ってくれたならバイト登用もできるから教えてね。睦月くんはすぐにでも入って欲しいくらい。フロアに人が欲しくて。」 「さっきの…さなえさんはフロアには出ないんですか?」 「あぁ。さなえはね茜がフロアに出ることよく思ってないんだよ。さなえはあの容姿にも関わらず本人は全く自覚無いから結構トラブルに巻き込まれること多くてね…元々あいつは料理得意だし。あぁ。茜とさなえも君たちと同じ。幼馴染みなんだ。ちなみに君たちより年下だよ?葉月に聞いたけど高2なんだろ?あいつらは高1なんだ」 「えぇ!!二人とも大人っぽい…」 「だろ。俺も始めは驚いたよ」 「葉月先輩…」 「葉月知ってるの?睦月くん」 「えぇ。芙蓉 葉月先輩なら高校が同じなんです」 「そうか。今日はあいつは休み。葉月驚くだろうな。ここで睦月くんと会ったら」 「そうでしょうね」 「しかもみくちゃんと幼馴染みなんて知ってたら葉月はショック受けるかもしれないな。葉月ずっとみくちゃんに会いたがってたし」 「え?そうなんですか?」 みくに会いたがってた…先輩が…怪我の心配してくれたのかな? 「怪我の心配してくれたんですかね?ありがたいですね」 「怪我?お前怪我してたの?」 「え?あれ?言わなかったっけ?ナンパされた人に強く腕捕まれちゃって少し捻ったんだよね」 「聞いてねぇ…」 「あはっ…ごめんごめん。」 「本当に付き合ってないの?」 「ないですよ」 「そう?お似合いだけどな」 「あははっ。みくには好きな人いますからね。俺なんて眼中にないんですよ」 「へぇ。こんなイケメン目の前にして他にいるんだぁ」 「俺なんかと比べ物にならないほどイケメンすよ。男の俺でも見惚れるくらい。優しくて頼りがいもあるし。ね?みく」 葉月先輩のこと言ってるのかな…もう諦めるって言ったのに… 「ははっ」 曖昧に笑い返すしか出来なかった。 そして次の店休日から通うことになる。勿論他の日だって客として来るけどね。俺の唯一の楽しみだから… 家に帰ればまたいつものように父と体を重ねる日々をおくりながら

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