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第28話

楽しみにしていた何度目かの第二水曜日。 毎回新メニューを一緒に考えてそれが商品になる。それが楽しくて嬉しくて。 騙しているという負い目はあるけれど打ち明けられないでこれに携わることの誘惑に抗えない 今日は睦月はこれないので久しぶりに一人で向かう 通い慣れた道を足早に進む 「つーかまえた!」 ぐいっと腕を引かれると路地へ引きずり込まれた 何が起こったんだろう…ゆっくり顔をあげるとあの日ナンパしてきたあいつだった 「何で…」 「ずっと探してたんだよね。君のこと」 「何で…私を…」 「ん?何でかな?俺も初めてこんなに必死になったからわかんない」 「離して下さい。急いでいるので」 「やだよ。やっと見つけたのに」 「離して…」 「みなづき みそらくん」 「えっ…」 「ふふっ…まさか君みたいな綺麗な子が男だとは思いもしなかったよ」 「っ…なら…わかってるなら…この手離してよ。」 「雪割 睦月くんは幼馴染み」 「…」 「あのカフェには女の子って嘘ついて通っているんだね。好みの男でもいるのかな?あそこイケメン多いもんねぇ。君の恋愛対象は男だもんね」 「…」 「後は…実は君はお父さんとイケない関係だよね?実の父親の下で啼いてるでしょ?ほら」 動画が見せられた…何でこんなもの…この名前も知らないこいつが持っているんだろう… 「いいの?睦月くんにお父さんとの関係ばらされても」 睦月にはこれ以上心配掛けたくない 「…俺にどうしろと?」 「そんなの簡単。俺のものになってよ。勿論お父さんとの関係はそのままでいいよ。お父さんにも睦月くんにも背徳感覚えながら俺の下で啼く君が見たい」 「悪趣味」 「何とでも言って」 「応じなければ?」 「この画像を睦月くんとお店の人たちに送ろうかな。あとは…まぁ、わかるよね?今の世の中のこと…いくらでも発信できるんだよ。俺さ円山って会社で働いてるんだよね」 「…っ…」 父が脅されているあの会社だった 「応じなかったら…もうわかるよね?どちらが有利なのか…」 「…わかった…でも、急に俺の動きが変われば皆気づく。気付かれたらあなたとの関係はうまく行かない。だからいくつかお願い聞いてくれませんか?」 「…内容によるけど。いいよ。君が可愛くお願いしてくれたから話は聞いてあげる」 いくつか条件を提示すると彼はふわりと笑って頷いた。 「いいよ。それくらいなら。それで君を抱けるのなら」 「ありがとうございます」 連絡先を交換し店に向かった。 今日が最後だ…

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