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第30話
その後直ぐに抱かれるかと思っていたがそんなことはなく二人でDVDを見たりしてゆっくり過ごしていた
ずっと後ろから抱き締められていたけれど
「美空くんいい匂いする」
「そうですか」
「なんか…安心するような」
顔を俺の項に埋めながら璃人さんは俺の匂いを吸い込んでいた
DVDも終わり画面は真っ暗になる
「お風呂入っておいで。メイク落としは姉の使い古しで悪いけどそれ使って」
「璃人さんが先に入ってきたら?ここ璃人さんの家だし」
「いいよ。先にいっといで」
優しく笑うから大人しく従った。
「部屋着俺ので悪いけど使って。下着は新しいの用意しておいたから」
「ありがとう」
一先ず息を吐く…璃人さんという人がわからない
すごく優しくて調子が狂う…何度も何度もそう思う。
抱けるならいいって言ってたからおそらく抱かれるんだろうから後ろの準備を念入りにした
ゆっくり入って上がると着替えも準備してあってタオルもふわふわだった
着替えて出ると璃人さんが笑顔を向けてくれた
「ゆっくりできた?」
「はい。」
「よかった。でも髪乾かさないと。ドライヤー持ってくるね」
「すいません」
「座って。乾かしてあげる」
そういうと綺麗に乾かしてくれた
「よしっ。美空くん髪さらさらだね」
「そうですか」
「さわり心地いい。んじゃ俺も入ってくる。待っててね」
帰ることも可能だったけど…大人しく待っていた
風呂上がりの璃人さんはとても色っぽかった
「ん?どした?」
「璃人さん色っぽいなって見惚れてました」
「ははっ。そう?ありがと」
「璃人さんすごくきれいですよね」
「そう?」
「はい。モテるでしょ。ナンパなんてしなくても沢山相手いそうなのに…何で俺?」
「さぁ?あのさ美空くん」
「はい。」
「化粧して無い方が可愛い」
「え?化粧なきゃ平凡な男です」
「俺はこっちのが好き」
「ありがと?」
「可愛いっ…」
ぎゅっと抱き着いてきた璃人さんを抱き締め返す
「幸せ…」
「え?」
「何でもないよ。もう遅いし寝ようか」
「はい」
とうとうその時がくるんだな…覚悟を決めた
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