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三つ子、3分の2②
むちゅ。
覗き込む姿勢で優太は翔太の唇に自分の唇を押し付けた。
眞澄はぎょっとして、でも、目を離せなくてじっとそれを見ていた。
虚を突かれた翔太の溢れそうなくらい見開かれた目を優太が受け止めている。
ちろ、
差し出された舌先が翔太の唇の会わせ目を撫でる。
胸倉を掴み上げるようにネクタイの結び目で吊るし上げられた翔太は苦しげに喉を鳴らし、その項 を優太の他方の手が支える。
踵がほんの少し持ち上がっている。
ねっとりと肉の塊が翔太の口の中に押し込まれるのを、眞澄は見た。
昨日、啓太とした深い口づけの味が、口の中に広がって、ふると無意識に体が震えた。
翔太よりも、優太の方が啓太に似ている。
三つ子だからそれぞれに似ているのは確かだけれども、なんとなく目元が違うのだ。
唇の厚さが違うのだ。身長が、声が、話し方が、全部。
でも、似ているんだ。
気が付いたら、眞澄は自分の舌先で、自分の口の中を触れていた。
凸凹した口蓋の手前や柔さが変わる境目のあたり、前歯の付け根は下よりも上の方がこそばゆくて二の腕が粟だった。
「んぅ、」
翔太の鼻先から甘い吐息が零れる。
耳の奥がきんとする。
同じような声を昨日、自分も出していた。
気持ちよくて、息ができなくて、目の前がくらくらして、口の中が溢れかえって、啓太でいっぱいで、その手に全部委ねてしまったら、どんなに気持ちいいだろうかと想像した。
「んぁ、ふ」
キスの合間で唇が離れた瞬間を見計らって息を吸う。
項を撫でていた優太の手が、指先で薄いワイシャツの背骨を伝う。
もどかしげに翔太の背中がくねり、その手は自然に優太の腰に回っている。
ぐいと腰を押しつけ合う。
2人の体が密着して、モスグリーンのチェック模様をした制服のズボンが窮屈そうに持ち上がっている。
それを押しつけ合って、翔太の腰はゆるゆると揺れる。
―――う、あ。
それが先刻の翔太の動きに重なって、今更眞澄は翔太の言う『運動』の意味を理解した。
―――セックス、するつもりだったんだ。
それを認識したら、ぼあと顔面が火を噴いた。
その熱さが、ぎゅうと収縮して、体の一点に集まる。
翔太の腰が、優太の腰に押しつけられて膨らんだ場所がお互いに、お互いのものを擦り潰す。
「ふあ、あン、あ……」
くちゅ、くち、
こちらまで聞こえそうなキスの水音。
視覚だけで聴覚まで刺激されて、目の前が滲んで、頭の中の翔太が眞澄自身に代わる。
優太が啓太に代わる。
―――あんな、キス、したんだ。
そう思うと急に胸がきゅうっと小さくなって、切なくなって、今度はどこどこ脈を打った。
―――擦り付けたら、どうなってしまうんだろう。
自分の手で扱くだけで、眞澄はあっけなく吐精してしまう。
それは不慣れだからというのもあるし、いつもぎりぎり、どうしても耐えられなくなった時にしかマスターベイションしないからでもある。
いけないことをしているようで後ろめたく、啓太に卑猥だと思われるのが怖くて、できなかったから。
「んっふ、あ。やば、ゆーた、ゆーた、もどかし」
「ほんとに、実演する気?」
堪え性なく優太の手を取り、自身の股に招いた翔太に優太は小首をかしげて、小さく問う。
ひくん、ひくんと断続的に翔太の体が震えているのが分かる。
「変なこと教えたら、啓太に怒られるよ?」
そう言いながら優太は翔太にされるがままで、少し余裕のあるウエストから翔太の股間に招かれる。
「変なこと、じゃねーよ、男同士で、キモチクなる方法だもん」
荒く息を吐く翔太の口の端を唾液が伝う。
本当に見ていていいものかわからなくなって顔を逸らすと、同じようにやり場のない視線を屋上のゴム床にさまよわせる陽樹がいた。
「絶対、啓太に怒られると思うし、陽樹がこれやったら、ハナちゃん先生にも怒られると思うんだけど。」
「あ。」
言いながら優太は片手で器用に優太のズボンを寛げ、頂点に染みを作って盛り上がった優太の下着を陽の下にさらした。
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