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長尺バット④
―――挿入のための、前戯、かぁ。
翔太の顔を仰ぎ見ながら啓太の言葉を思い出していた。
啓太のアレが翔太の言う通り、眞澄が思い出した通りのサイズだったとしたら。
―――相当の前戯が、必要なんじゃないか?
尻の穴ってそんなに広がるものなのだろうか。
いや、太さよりも、長さのほうが問題なんじゃないか。
尻の穴って、奥はなんセンチくらいあるんだろう。小腸とか大腸とかに繋がっているわけだから、短いわけはないと思うけれどそんな奥まで押し込まれたら内蔵が壊れてしまうんじゃないだろうか。
その上、中に射精なんかされたら、どうなってしまうのだろう。
中の中まで、染められてしまったら。本当に、自分はどうなってしまうのだろう。
次から次へとわいてくる疑問に答えが追い付かない。未知のことばっかりで想像さえおぼつかない。
怖い、のに、知りたい。
啓太が、それを求めるなら、応えたい。
でも恥ずかしい。
自分の恥ずかしい顔を見られるのは、嫌われるのは、怖い。
いろんな感情がごっちゃになって、よくわからなくなって、重ねた両腕で顔を覆った。
―――何を、誰に、どう聞いたらいいのだろう。
恋愛って難しい。
「眞澄ー?」
「……はい。」
上から見下ろす翔太が小首を傾いで様子をうかがう。顔を隠したままで返事だけ返す。
「……抵抗とかないの?」
「はあ……」
抵抗する必要があるのだろうか。
確かに翔太はのし掛かってきているし、上手く身動きはとれないけれど。
「だって、翔太先輩、俺に何かする気ありませんよね?」
「うん。」
素直に頷いた翔太は体を退けて眞澄の目の前に座った。
「なんかまた考え事にぶっとんでたね」
「まあ、はい。」
どうしたらいいか判らないことが多すぎて、誰に聞いたらいいかわからないことも多すぎて、啓太は、教えてほしければ自分に聞けといったけれど。
―――全部聞いて、嫌われたら、俺はホントに生きていけない。
深く吸って、吐き出す。
こんな相談。誰にしたらいいんだろう。
欲情する体と、怯える頭と、求める心と。
上手く噛み合わなくてちぐはぐする。
「翔太先輩。」
解消しないと、先に進めない気がする。
怖いのに、してほしいと思うことってあるのだろうか。
される側から欲情することはあるのだろうか。それに。
「ケツの穴にチ○コ突っ込まれるのって、どんな感じですか?」
真面目な顔で口走っていた。
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