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第7話
部屋に散乱した玩具を一カ所に拾い集めて純の隣に腰を下ろす。
急に小さくなられると変な感じだが、朝と比べて気持ちはだいぶ落ち着いていた。
(純はどこまで覚えてるんだろう)
楽しそうに歌い始めた純に、ふと思ったことを聞いてみる。
「……純は俺のこと好き?」
「うん! だいすき!」
キラキラした瞳で即答する可愛い純。普段なら絶対ありえないシチュエーションに、これはこれで良いなと思い始めている自分がいる。子供をどうにかする趣味はないけれど、これは素直に可愛い。
「おじ……おにぃしゃん、ちゅーしてー」
言いかけた言葉にピクリと反応する。素直な子供の言葉はグサリとくるが、そのあと噛みながら可愛いことを言うものだから、たまらない。
「……ちゅー?」
「うんっ!」
「何で?」
「え? だって、ぼく、およめさんでしょ? 」
そう言ってコテンと首を傾げた。屈託ない笑顔で俺の膝の上に乗ると、両手で俺の胸元をクイクイと引っ張ってくる。
(お嫁、さん……)
「今はしない」
「なんで……?」
「なんでって……」
どう答えたものかと苦笑しながら、言葉を選んでいたら、純の瞳がうるうると潤みだす。なんて可愛いのだろう。
「きらい?」
「大好きだよ。でもそういう事は大きくなったらしようね」
「……ぼく、おっきいもん」
拗ねたようにそう言う純の腹部に顔を埋めて、がぶがぶと食べる仕草をすれば、手足をバタバタさせて喜ぶ。
「きゃーーあははっ、くすぐった、あははははっ」
「食べちゃうぞー」
「いや~」
「待て待てー」
「きゃーー」
ケラケラ笑って走り回る純を追いかけ回し、腕時計をチラッと確認する。時刻は午後一時過ぎ。そろそろお昼ご飯を食べさせなければ。食べた後はきっと疲れて眠るだろう。
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