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第3章ー7
「残念だが、俺がするのはここまでだ。あとはこれ達に可愛がってもらえ」
イザナが犬猫を可愛がるかのように蔦を撫で、そうして、クガミの様子を見物するつもりなのか地面に胡坐をかいて座り込んでしまった。
無駄だと分かっているが、クガミは拘束されたままの四肢を動かそうと試みた。が、何本もの蔦がぎっちりと巻きついているせいでビクともしない。
そうこうしている内に、蔦が本格的に動き始めた。クガミの四肢を拘束していない蔦が、ぬるりとした感触を伴ってクガミの肌に触れる。イザナの手とは違う気色の悪い感触にクガミの喉からヒッ、と悲鳴が漏れそうになった。それでも叫び出さずにいられたのは、クガミの男としての矜持のお蔭だった。
クガミが反応をすると悦ぶのはイザナだ。クガミの自由が奪われている今、蔦による陵辱が避けられないのなら、せめてイザナを悦ばせることだけはしたくない。
自身でも変なところに拘っている自覚はある。が、これが今のクガミに出来る唯一の反抗だった。
さわさわと肌の表面に触れるだけだった蔦の動きが、次第に明確な意図を持ったものへと変わる。女とは違い膨らみのないクガミの胸の上を這い、まだ柔らかく慎ましやかな小さな実を探り当てたのだ。
(何故、そんな部分を……?)
女ではあるまいし、そんな部分感じるはずがない。疑問に思っているクガミをよそに、細い蔦が右胸の粒をくるくると円を描くように弄ぶ。左胸の粒には、先端に細かく柔らかい毛のようなものがびっしりと生えた蔦がその部分を磨くかのように丹念に触れていた。
「ッ、く……ん……」
弄られているうちに次第にクガミはむず痒い様な感覚に襲われ始めた。粒が徐々に芯を持ち始めるのが自分でもわかる。
蔦が粒を縊り出すように根元に巻きつき、血液が堰きとめられるような感覚と小さな痛みに、クガミは眉根を寄せた。これ以上触れて欲しくなくて身体を後ろへ引こうとするのだが、粒の根元に巻きついた蔦がクン、と引っ張られる上に他の蔦が胴回りに巻きつきそれを阻む。
細かい毛で擦られ続けているうちに芯を持ってしまった左の粒も、右と同様に根元に蔦が巻きつき縊り出されてしまった。クガミが胸に気をとられている間に指二本分ほどの太さがある蔦が、内腿を撫で始めた。ぬるぬるとした粘液のようなものを塗りたくられ、クガミの背を悪寒が走る。
「……こんなの、……ん、……気色悪いだけだ」
「そう言うな。次第に善くなる」
神らしくなくぎらぎらとした瞳でクガミを見つめるイザナが、ククッと喉を鳴らして笑う。
と、不意に内腿を撫でていたはずの蔦がクガミの陽物に絡みつき、クガミは大きく身体を跳ねさせた。
「や、めろ……ッ……そこは……ぁ、ッ!!」
クガミの制止の声も虚しく、蔦が陽物を弄び始める。
既に胸の粒から与えられる刺激で半分ほど勃ってしまっていたクガミのそこを、蔦が扱く。粘液の滑りを借りてぬるぬると前後に擦られ、あっという間に硬く育ってしまった。赤黒く充血した先端を重点的に蔦が撫で回し、クガミはびくびくと身体を跳ねさせた。
陽物に与えられる快感と同時に、弄られ赤みを増した粒を強弱をつけて引っ張られる。認めたくはないが、弄られている内に胸の粒も感じるようになってしまったらしい。
「真っ赤に熟れて美味そうだな。いずれ俺が食べてやろう」
イザナが舌なめずりしながらクガミの充血してしまっている胸の粒を見る。赤黒い粒は塗りつけられた粘液のせいもあって艶やかに濡れ光り、果実のような様相だった。
「ん、ッ……断、るっ……ん、ああッ……!!」
クガミはイザナを睨みつけ――しかし、胸の粒を別の蔦に捏ねられ、陽物の先端を蔦先に抉られると堪らず声を上げてしまった。先端の小さな孔からは蔦から分泌されている粘液とは違う粘り気を帯びた雫が零れ、ぱたぱたと地面に落ちてしまっている。
(く、こんな……どうしてッ……)
クガミは気持ちとは裏腹に昂ぶっていく自身の体に困惑していた。女性との同衾が一度もなかったわけではない。しかし、どちらかと言うとクガミは禁欲的で。その上、ヨキに片思いしていることもあって自身を慰めることも滅多にしない。たまに自慰をする時も、こんなふうに声を上げられずにいられないほど快感を覚えたことはない。それなのに、今の自分はどうだ。あられもない声を上げながら、快感に身をのたうたせている。
こんなの、自分ではない。きっと、何かしらおかしな力が働いているに違いない。
クガミがそう思っていると、新たに現れた鳥の卵ほどの太さで先端に小さな孔のある蔦がクガミの唇を突いた。そうして、数度クガミの唇をぬるぬるとなぞる。
「ん、ん――ッ!?」
クガミはくぐもった声を上げた。突如として、唇に触れていた蔦が薄桃色のどろりとした液体をクガミの顔目掛けて吐き出したのだ。
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