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白衣の人
まだ確認をしたいから、という後輩を残して僕は生徒会室を後にした。
下駄箱まで来て、司を残してきたことを少し後悔した。履き替えた上履きをしまうのももう終わるのか、と思うと急に切なくなる。
(一緒に帰ろうって誘えばよかったかな・・・)
「1人で帰るのかい?さっき司クンと生徒会室に居なかった?」
飛んできた声の方を向くと、先程上から見ていた白衣の人物が立っていた。
「佐藤先生。ええ、さっきまで一緒にいましたよ。彼はまだ残るそうで、僕だけ先に」
若くて容姿の良い彼は、学年問わず女子から人気があり、ノリが良いことから男子からも定評があった。
生徒会の担当教員ということもあり、僕も1年生の頃からお世話になっていた。
「そっかそっか。気を付けて帰るんだよ。もうすぐ卒業だからね」
「はい」
「あ、そうだ」
ちょいちょい、と小さく手招きをしたので、ローファーで行けるギリギリまで行って先生に近づいた。
「司クン、可愛いよね。幼めな顔立ちとか、弱い風でも揺れる柔らかい髪とか、高校生とは思えない細い腰とか・・・」
低く小さい声で囁かれた衝撃的な内容に、耳を塞いで飛び跳ねてしまった。
すると囁いた本人はケラケラと笑って、「明日の放課後16時に保健室に来なよ。いいものを見せてあげる」と、去っていった。
動揺を隠せないまま僕は下校した。
その間、先生の言葉が何度も頭をよぎった。
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