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保健室

――本当に来てしまった。 正直、昨日の先生の発言のせいで夜寝付くことができなかったが、怪しいと思いつつ誘ってもらった手前無下にするのは失礼かと、馬鹿正直に16時まで居残ってしまった。 目の前の扉を開けるかどうするか。 悩んでいると右の方から足音が聞こえた。 「お、来たね」 昨日の夜さんざん悩まされた現況の人が白衣をたなびかせて歩いてきた。 「いったい何だって僕をこんなところに・・・」 言いかけて、唇に指を当てられ封じられた。 「静かに、待っててごらん。これから中で何が起きても物音を立てたり声を出したり、まして中に飛び入ってくるなんてしちゃダメだよ」 小声で告げて、僕は保健室のドアの横に、彼は扉を開けて入っていった。 「やあ、お待たせ。言ったことはやってきたかい?」 「はい。それでその、本当に教えてくれますか?男同士のせ、せっ・・・くすのやり方・・・」 心臓が止まるかと思った。 予想外の言葉を耳にしただけでなく、昨日も聞いたよく聞き覚えのあるその声。 (司・・・?) 「ああもちろん。じゃあズボンを脱いでベッドに腰掛けてごらん」 先生の声とともに、カチャカチャとベルトを外す音、次いでズボンが床に落ちる音がした。 「脚を開いて、そう。力は抜いてね」 「ん・・・せんせ・・・」 だんだんと先生ではない方の呼吸が荒くなっていく。 僕は耐えきれなくなって、ほんの少しだけ扉を開けた。 目に飛び込んできたのはシャツをはだけさせてベッドに腰をかける後輩と、後輩の足の間でしゃがむ先生。 すると、手の甲を口に当て、真っ赤な顔で声を我慢する彼を促してベッドに横たわらせる。 下着を脱がせ、彼が頷いたことを合図に先生は指を窄み(すぼみ)に差し込んでいった。 「あっ、あああ!」 叫びのような声をあげ、シーツを強く握りしめる。 それでも容赦なく指は差し込まれ、彼の喘ぎは途切れなかった。 痛む心とはうらはらに、その声に興奮してしまう自分の体は正直だった。 (これ以上見ていたくない) 僕は足速にその場を立ち去った。 その日の夜、彼から連絡が来た。 「明日の放課後、生徒会室に来ていただけませんか?待っています」 僕は返事を打たないまま夜を明かした。

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