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新田のおかげで来週までに終わらせなければならない書類は無事に全て片付け終わった。
もう少しすれば他校との交流会がある。そのための書類は今理事会にあがっており、一週間ほどすれば生徒会に回ってくるだろう。それまでの間、しっかりと休みを満喫しようと教室でのんびりとしていた。
「七竈ぉじゃがりこちょーだい」
「いやこれ俺んだし!」
「えー」
席が前後の紅葉と七竈の机の周りにいつものメンバーになりつつある白金と摂津が集まって適当に駄弁っていた。
「七竈のケチー」
「七竈お前勝手に俺のお菓子食ってただろ」
「七竈、ケチは俺の専売特許なんだけど」
「だぁぁぁぁぁっ!! うっせぇよ七竈七竈って!!」
「だぁって、じゃがりこくれないんだもぉん」
今はじゃがりこの気分なの。そう言うと呆れた視線を三つ、キラキラしい視線が一つ向けられた。キラキラしい視線を辿ればクラスメイトがじゃがりこを片手にもじもじしている。
「白乃瀬君! 良かったら僕のじゃがりこ食べる?」
「いいの?」
「う、うん! 僕ダイエット中で……」
「やったー。ありがとー茶島君」
じゃがりこをプレゼントすると顔を真っ赤にして去っていった。とても愛らしい容姿をしているがクラスメイトである紅葉たちは知っている。茶島は超男前なのだと。
身長百六十前後だがそこらへんにいる自分よりも体格のいい不良を一本背負いで決め、柔道部期待のエースで幾度となく大会で優秀していることを。
可愛い顔してるのに勿体無いという輩も多いが、そのギャップにやられたと増えるファンもまた多い。まさしく綺麗な薔薇には刺があるを体現してる少年だ。
次の授業の準備をしながら思い思いに休み時間を過ごしていると、白金がふと思い出したように話題を変えた。
「明日からテスト週間だよな」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「……え?」
テスト? テスト週間? ポカンとした表情でしきりに首を傾げる。
仕事を片づけるのに一生懸命になりすぎてしまい、教室へ来る回数も疎かになり情報が行き渡っていなかったのだ。
「白乃瀬知らなかったんのかよ?」
「知らない知らないテストなんて知らない。え、だって、僕ここ最近ずぅっと生徒会室に籠もってたから、うっそ、まじ? 何も勉強してないんだけどぉ」
「あー……白乃瀬乙」
「他人事みたいにぃ! 白金! こうなったら勉強会! 今日からしよっ」
「あ、ごめん無理。委員会のほうで勉強会あるんだわ」
友との勉強会より委員会を取った白金をギッと睨みつければ、苦笑が返ってきた。
白金がダメなら、と七竈と摂津に目をやれば。
「わりぃ! 部活の方で、な」
「俺バイト」
薄情者! と震えた声が教室内に響き渡った。
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