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風立って嵐-04
「触んないでね」
「って言ったら触んないと思う?」
自分が足フェチだと思ったことはないが、剥き出しにされた足がなんだかそそる。ひらひらとしたものに装飾され、手入れされた肌が妙に艶めかしく見えるから不思議だ。
そんなことは絶対皐月には言わないけれど。
逃げられないように片腕で膝上あたりをホールドしたら、こくんと皐月の喉元が動くのが見えた。
ーー 触って欲しいのか、欲しくないのか。はっきりしろって。聞かないけど。
スカートのプリーツがくしゃくしゃに手繰り上げられ、きめの細かい内腿が露わになっている。そこに人差し指と中指の先を、意味ありげにゆっくりと這わせた。覚られないよう微かにふるっと肌を震わせるのが楽しい。こっちはとっくに気づいているのに。
「すべすべで気持ちい…」
「それはいつも剃っとけっていうリクエストですか?」
「俺が剃ってあげてもいいけど?」
「さすが奏衣、ドーテー処女のくせに強気の剃毛プレイって」
癪だったので四本の指をぴたりとつけて、スカートの裾際どいところまで撫でまわしてやった。皐月も体を震わせているが、自分だって体の芯がぞくぞくしている。これが生身の体に興奮すると言うことなのだと、初めて知った。
奏衣でもそれなりに自分で慰めたりもするし、おかずも選ぶ。でもそれは曖昧な漠然としたイメージでしかなかった。
皐月の肌はすでにしっとりとした熱を帯びてきていて、すべすべだったのが手に馴染み吸い付くように変わってきている。唇からこぼれる湿り気ある吐息が奏衣の胸を揺らす。
間近で観察するかのように皐月の変化を感じている奏衣には全部伝わってしまっているのに、平静を装い、未だ隠そうとしている男が可愛いく思える。
艶かしい声さえ溢れさせそうな目の前の唇に、自分から口をつけた。そこから吐き出されるものが、ひどく甘そうだったから。
迷いなく差し込まれた舌に、初めて知る他人の粘膜を味わう。意思を持って蠢くぬるりとした硬いものに自ら絡めてみると、初めて奏衣の口腔を犯したくせに妙に馴染むから不思議だ。
率直な欲望を見せつけられ、与えられるほどに欲しくなる。
こんなことも知らないで、自分でも触れたことのない体の奥底に突っ込んでもいいと言っていたなんて、本当に何も知らなかったんだなと感動すら覚えた。
歯のエナメル質から上顎、舌のつけ根まで、毎日なんかしら使っている器官なのに、知らなかったことばかり思い知らされる。そんなところを蹂躪するかのごとく舐めまわされて、気持ちよくなるなんて。
その間も皐月の足に手を這わせていると、舌まで震わせ熱を持つのがわかるから余計に煽られ誘うかのように撫でてしまう。
「んっ…ふ……っん…ぁ……」
唾液を絡めたところからひっきりなしに聞いたこともない柔らかさを含む息が漏れる。気恥ずかしいけれど、それどころじゃない。皐月も夢中で奏衣の内側を貪っているから、そのままの流れに欲求を任せてみる。
どうやって止めるんだろうと思い始めた頃、未練がましくくちゅと小さな水音を立てて皐月が離れていった。
「やばい…これ、ただのいちゃいちゃじゃないんだけど?奏衣、キスがエロ過ぎ。思ってたのと違う」
くちづけの余韻で思考が溶けだしそうで、反論もできず皐月を見返すと、とろりと濡れているみたいに瞳を輝かせていた。
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