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タロの靴下 2
足責めで盛り上がった結果、今日も充実した夜になった。
ほとんど同時に2人とも達した後、タロの中から自分のモノを抜いて体を起こした俺は、思わず「あっ」と声をあげた。
「タロ、いつの間に靴下はいたんだ?」
「あれ、ほんとですね。いつの間に……」
どうやらタロはセックスの最中か終わった後かはわからないが、無意識のうちに神通力でいつもの白黒靴下をはいてしまったらしい。
足責めしてる間は脱いでいても平気だったのに、タロの靴下にはなかなか根深いものがありそうだ。
「なんで靴下だけうまくいかないのかなあ。
神使になってからは、耳も尻尾も完璧に隠していられるようになったのに」
後始末を終えて布団の中でタロに腕枕をしてやりながらそう言うと、タロは「たぶんなんですけど」と言いつつ自分の考えを話してくれた。
「ご主人様と初めて会った時、僕が捨てられた理由が右後ろ足だけが黒いからかもしれないって聞いて、ご主人様、『そんなことで捨てるなんて』って怒ってくれたの、覚えてますか?
僕、それがなんかすごくうれしかったんです。
それで初めて会う僕のために怒ってくれるご主人様のこと、優しい人だな、この人に飼ってもらいたいなって思いました。
それまで自分の足の模様なんて気にしたこともなかったけど、それからはこの模様のことが好きになったんです。
だから、足の模様だけは人間に変身しても犬の時と同じなのかなって」
「そうだったのか……」
タロの靴下が白黒なのが、俺と出会った時の思い出を大切にしてくれてるからだなんて、考えもしなかった。
またタロのことがさらに愛おしくなって、俺は腕の中のタロをぎゅっと抱きしめる。
「まあ、いいか。
靴下はこのままでも」
「そうですね。
なんだったら必要な時は靴下を2枚重ねではいて、外からは普通に見えるようにしてみたらどうでしょう?」
「あ、それ出来そうか?
出来るならそれでもいいだろうけど、夏場は蒸れそうだなあ。
あ、そうだ。
いっそのこと、足に模様を描いちゃったらどうだ?
外でわざわざ靴下なんか脱がないし、ボディペインティング用の絵の具を使えばすぐ取れるし。
隣の物置部屋にサインペン置いてあったから、あれで試しにちょっと描いてみよう」
布団から出て隣の部屋から黒いサインペンを持って来るとタロの黒い方の靴下を半分脱がせる。
半分脱ぐだけでもタロはむずむずするらしく、落ち着かない様子だ。
「水性サインペンだけど、肌に書くと落ちにくいから、今回はお試しでちょっとにしとくな」
そう言うと俺は、タロの足首に近い足の甲に500円玉くらいの大きさの丸を描いて、その中を黒く塗り潰した。
肌に直に描かれるのはくすぐったいらしく、タロは身をよじって我慢している。
ついでだからと最後に三角形の耳を描き足してから、脱ぎかけになっていた黒い靴下を全部脱がせた。
「よし、まあ今日のところはこんなものかな。
どうだ、タロ?
むずむずするの、ちょっとはましか?」
「はい。ましっていうか、まったくむずむずしません!
すごいです!」
「お、やったな。
なんだ、案外簡単だったな。
それじゃあ、今度ボディペインティングの絵の具を買ってきて……あれ?」
気がつくと、タロの足に描いた黒い丸の色が微妙に変わっていた。
サインペンの鮮やかなものではない、少しくすんだその色は肌になじんでいて、まるでアザかほくろのようだ。
慌ててこすってみるが、色はまったく落ちず、完全に肌と一体化してしまっている。
「うわ、なんだこれ。落ちないぞ」
俺が驚いていると、タロが何かに気付いたように「あっ」と声をあげた。
「すいません。
僕、今、ご主人様がせっかく描いてくれたんだから、洗わないでそのままとっておきたいなって思いました……」
「あー、それでか」
きっとタロはまた無意識のうちに神通力を使って、俺の描いたタロっぽい黒丸を本物のアザに変えてしまったのだろう。
「気にいってくれたんだったら、まあいいけどさ。
それだったら、もっとちゃんとしたやつを描いてやったらよかったな。
それともこれなら一応はアザに見えるから、これでいいのか?」
耳はついているものの、これくらいならまあ、人に見られても変わった形のアザでごまかせる。
人前で靴下の中を見られる機会はほとんどないだろうけど、まあこれで良かったのかもしれない。
そんなわけで、俺が描いた黒いアザを手にいれたタロは、両方同じ色の靴下をはけるようになったし、お風呂以外でも裸足でいられるようになった。
俺たちの夜の時間に、足舐めプレイが追加されたのは言うまでもない。
ちなみに宮司の佐々木さんからは「白足袋がはけるようになったのなら、神社のお手伝いの時に是非神主の格好を」と言われたが、恋人権限で丁重にお断りさせてもらった。
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