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第6話

『隆之!起きてっっ!』 『……ん~』 『隆之!俺、遅刻しちゃう~!』 『え……?────あっ!』 ヤバい……っ!! 寝過ごした!? 慌てて飛び起きると、もう すでに出掛ける格好をした 要が心配そうに見下ろしていた。 『あ、起きた!よかった~! 俺、急ぐから もう行くね! あと、朝ごはん 作ったから食べてね? いってきまーす!』 『あ…っ、かな…』 謝る間もなく、止める間もなく 要はスニーカーを引っかけるように履くと バタバタと出ていってしまった。 『……あー………、くそ…っ…』 何やってんだ 俺は… 要は朝に弱くて、掃除も料理も出来ない。 だから、早々に独り暮らしを諦め 俺のアパートに転がり込んできたってのに。 変なことで悩んで 眠れなくて 起きれなくて…要に…迷惑かけて…… 『なさけねぇ……』 こんなんじゃ いつかホントに愛想つかされるかも… 『ああぁぁ………』 朝から どんより暗い気持ちを抱えて 顔を洗って キッチンに行くと テーブルの上に、要が用意してくれた 朝ごはんがあった。 『…えっ!作って……って、なんだこれ!』 黄身の潰れた目玉焼きには ケチャップで描いた 大きなハート 付け合わせのレタスにはマヨネーズで 「LOVE」の文字 俺の事を想って用意された朝ごはん。 『はは。ホント、なっさけねぇ…俺…』 要の気持ちを少しでも疑った自分が ホントに なさけない。 俺は要が好きだ。 要も……俺が 好き。 キスを避けられるくらいなんだ。 それでいいしゃないか… それで十分だ… 焦げて苦い目玉焼きと、 同じく真っ黒に焦げたトーストを食べながら幸せを噛みしめる。 でも…… 『(にげ)ぇ……』 やっぱり明日は早起きして 俺が ご飯を作ろう…
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